大津市内の国道1号。自転車などが絡む交通事故をなくそうと、警察や行政が対策を検討している(画像の一部を加工しています)

大津市内の国道1号。自転車などが絡む交通事故をなくそうと、警察や行政が対策を検討している(画像の一部を加工しています)

大津市内での自転車事故対策を話し合った有識者会議(2月5日、同市打出浜・滋賀県警本部)

大津市内での自転車事故対策を話し合った有識者会議(2月5日、同市打出浜・滋賀県警本部)

 滋賀県内で発生した人身事故が昨年、過去最少となる中、若者らが多い大津市では自転車が絡む事故の減少ペースが鈍っている。琵琶湖を一周する県の観光施策「ビワイチ」やシェアサイクルの導入で、湖国での自転車通行量は今後増えることが見込まれ、行政と警察が連携して対策の検討を始めた。

■国道の商業施設出入り口で多発

 県警交通企画課によると、県内の昨年の人身事故は、統計が残る1961年以降で最少の2913件(前年比734件減)。自転車事故も県全体では毎年減り、昨年は484件(同144件減)だった。一方、大津市内では、人身事故が過去5年で30%減ったのに対し、自転車事故の減少率は5%にとどまる。昨年、市内では県内最多の122件の自転車事故があり、人身事故の約17%を占めた。2016年の約12%からも増加している。

 「どのような形態の自転車事故が多いか、各機関が共有し、対策につなげたい」。2月、大津市内の交通安全対策を考える有識者会議が県警本部で開かれ、大津署の担当者が呼び掛けた。

 示されたデータによると、市内の自転車事故は国道1号と161号沿いに集中し、商業施設の出入り口の歩道上で多発。10代が当事者となるケースが最も多く、過去10年では小学3年と高校1年に進級する時期に約3~4倍に増えたという。

 同署担当者が「小3は自転車に乗り慣れ始めて走行距離が伸び、高1は自転車通学が始まる」と分析したことを踏まえ、立命館大の小川圭一教授(交通工学)が進級前の子どもたちに重点的に安全教育をするよう求めたほか、別の出席者からは夜間に発光する路面表示や、看板での注意喚起を求める声も出た。

■「ビワイチ」対策も充実を

 会議での報告を受け、道路を管理する行政は対策の検討に追われている。県ビワイチ推進室によると、体験者は15年の5万2千人(推定)から、国の「ナショナルサイクルルート」にも指定された19年には10万9千人に倍増。ルート(193キロ)上の多くに、車の運転手らに注意を喚起する青い破線が引かれているが、県大津土木事務所は「観光振興と事故対策は並行する必要がある。新年度以降、事故多発地点での路面表示の充実など安全対策を図りたい」との方針を示す。

 観光振興の一環で2月からJR大津や膳所駅などでシェアサイクルの実証実験を始めた大津市は、道路のハード対策などを担う建設部や教育委員会など関係部署で、自転車事故の傾向のデータを共有。教委児童生徒支援課は「各小中学校に事故の傾向を周知していく。学区ごとの交通事情とも合わせて安全教室にいかしたい」とする。

 有識者会議の座長を務める帝塚山大の蓮花一己学長(交通心理学)は「事故の傾向を知るだけで終わらせず、活用して効果を検証することが重要。効果が出たらモデルケースとして外部に提示していくべきだ」と指摘。さらに「19年に散歩中の保育園児ら16人が死傷するなど大きな交通事故が起きた県として、自転車事故防止対策でも先進的な取り組みを期待したい」とした。