華道の伝統 きらびやか

尊型古代文様花器 富山大学芸術文化学部蔵(大郷コレクション)

 カブトムシやカニが乗ったり、竜が絡みついたりする凝ったものから中国風の連続文様が刻まれたものまで、豊かなデザインと高い技術を誇りながらあまり知られていない近代の銅花器が並ぶ。泉屋博古館(京都市左京区)の特別展「鋳物・モダン」のタイトルには芸術品ではなく実用品として作られ、華道という伝統の営みの中で使われてきた器への思いを込めている。

蟹文魚籠形花器 富山大学芸術文化学部蔵(大郷コレクション)
甲虫貼付瓢形花器 銘陵雲作 富山大学芸術文化学部蔵(大郷コレクション)

 富山県出身の華道家大郷理明(おおごうりめい)氏のコレクションで富山大に寄贈されたものから四十数点、泉屋博古館所蔵の中国青銅器、鋳物の産地・富山県高岡市の高岡市美術館所蔵品なども合わせ、93件を通期展示する。

菊桐唐草透彫筒形花器 富山大学芸術文化学部蔵(大郷コレクション)
芙蓉龍流足薄端 銘栄清 富山大学芸術文化学部蔵(大郷コレクション)

 金属工芸は東アジアでは3000年の歴史を持つ。日本には中国から銅花器がもたらされ、その模倣品などが作られてきたが、明治期に輸出需要が増大し、それまで武士の刀装具を作っていた金工職人が器作りに移り、きらびやかで独創的な器の表現が花開いた。

饕餮(とうてつ)文尊 中国・西周時代 泉屋博古館蔵
下蕪形象耳瓶(象耳花入キネナリ) 中国・元時代 泉屋博古館蔵

 着色技術の発達で器地に多様な表情が生まれ、さらに、ロウと土を用いる蠟型鋳造(ろうがたちゅうぞう)技術の高度化が、本物そっくりの昆虫など細密な表現を可能にした。原型となるロウは通常は溶けてなくなるが、高岡市で鋳造業を営む須賀松園工房に偶然残っていた。この貴重な原形や金型も展示し、伝統の製作技術を紹介する。

富士巻狩・武者文耳付薄端 増山永親 高岡市美術館蔵
攀龍(はんりゅう)文大花瓶 初代須賀松園 高岡市美術館蔵

 「鋳造技術は古代から存在し、時代の要請に応じて必要な物を生み出してきた。その奥深さも伝われば」と廣川守館長は話す。



【会期】3月13日(土)~5月16日(日) 月曜と4月23日(金)、5月6日(木)は休館。5月3日は開館
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会場】泉屋博古館(京都市左京区鹿ケ谷下宮ノ前町)
【入館料】一般800円、高・大生600円。中学生以下と障害者手帳提示の人は無料
【主催】泉屋博古館、富山大学芸術文化学部、京都新聞
【問い合わせ】075(771)6411
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会期等が変更になる可能性あり。