京都大医学部付属病院に設置されたヘリポートを使って実施された患者の搬送訓練(2015年12月・京都市左京区)

京都大医学部付属病院に設置されたヘリポートを使って実施された患者の搬送訓練(2015年12月・京都市左京区)

京都と滋賀で想定される最悪の被害

京都と滋賀で想定される最悪の被害

 未曽有の巨大災害とされる「南海トラフ地震」が起こると、最悪の場合、東海から九州にかけての太平洋側は大津波と震度7の揺れで壊滅的な被害が想定されている。救援や支援はこれら被災地に集中するため、京都や滋賀のような「被災地の外縁部」では自力で苦境を乗り切ることが求められる。その時、京都や滋賀の医療はどのような事態に直面するのか。専門家や自治体への取材を基にシミュレーションした。

■重傷者、京都と滋賀で計3500人

  南海トラフ地震が発生した時、京都府では最大で死者860人、重傷者2660人、滋賀県では最大で死者474人、重傷者816人と推計されている。

 京都府医療課によると、医療は府内に13ある災害拠点病院を中心に対応することになる。それぞれの病院は耐震基準を満たしており、原則として発生から3日間は電気や水を自前で維持できる設備を備えているという。同課は「6強の地震でも機能は維持できるはずだ」とする。ただ、数千人に及ぶ重傷者を府内だけで治療できるかは不確定で「発生直後は、ヘリなどで他県に搬送するケースも出てくるだろう」と語る。

■病棟は無事でも、医療設備に被害が

 京大防災研究所の倉田真宏准教授と京大医学部付属病院初期診療・救急科の大鶴繁教授らは昨年12月、兵庫県三木市の「実大三次元震動破壊実験施設(Eーディフェンス)」で、病棟を模した建物で実際に揺れを起こす実験を行った。その結果、震度6強レベルの地震動では耐震基準を満たした建物そのものの倒壊は起こらなかったが、透析器やベッド、人工呼吸器などは倒れたり大きく移動したりした。

 倉田准教授は「耐震基準を満たしていて建物が倒れなくても柱や壁、配管設備などが壊れ避難が必要になるケースは出てくる」と指摘。災害拠点病院を含めて一定の病院が使えなくなることを想定し、柔軟な対策が求められるとしている。

■京都の医療、津波被災地の後方支援も

 また大鶴教授は「南海トラフ地震が起こって時間がたてば、京都は被害の大きい太平洋沿岸部の後方支援に当たる必要が出てくる」とも説明。同病院では、2015年にヘリポートを設置。地震や津波で交通網が寸断される事態を想定した設備で、沿岸部などから患者を空路で運べる体制を整えている。大鶴教授は「京都のけが人の治療は当然として、他府県からの受け入れも検討している」と話す。