京都駅ビルのピアノを演奏する男性。京都タワーが見える絶好のロケーションも魅力の一つだ(3月6日、京都市下京区)

京都駅ビルのピアノを演奏する男性。京都タワーが見える絶好のロケーションも魅力の一つだ(3月6日、京都市下京区)

京都・滋賀にある主なストリートピアノ

京都・滋賀にある主なストリートピアノ

 駅や空港、街頭などで誰でも自由に演奏できる「ストリートピアノ」が全国で広がっている。老若男女、初心者から腕自慢まで、さまざまな人たちが奏でる音色に、行き交う人も思わず足を止め耳を傾ける。多くの人々を引きつける魅力とは。京都の玄関口、JR京都駅(京都市下京区)の駅ビルにあるグランドピアノを弾いた「街のピアニスト」たちに聞いた。

 3月初旬の午後。京都駅ビル7階の東広場から、軽やかなピアノの旋律が聞こえてきた。
 市内の大学に通う陳如嫣さん(19)がピンと背筋を伸ばして鍵盤に向き合う。弾いていたのは、クラシックにジャズを融合した作風で知られるロシアの作曲家カプースチンの「夢」。初めてピアノが楽しいと思えたお気に入りの曲だという。


 親の勧めで3歳から始めたピアノ。小さい頃はコンクールにも出場していたが「『賞を取らないと』というプレッシャーを感じていた」。純粋に楽しめるようになったのは大学受験の勉強をしていた時。演奏していると気分が晴れた。

 昨春の進学を機に神戸市の実家を離れたが、下宿先にピアノはない。ここは好きなピアノに自由に触れられる場所。「人に聴かせるというより自分が楽しんでいる」と笑顔を見せた。

 駅ビルにピアノが登場したのは2019年秋。当初は人通りの多い西口広場に期間限定で設置していた。だが、SNSを中心に大きな反響があり、現在の場所で継続が決まった。平日は50人、休日は多い時で100人近くが足を運び、女性よりも男性が多いという。京都駅ビル開発の担当者は「普通のサラリーマン風の方もクラシックやポップスを弾いていかれる。ストリートピアノとして一般に開放されると、こんなにピアノが弾ける人がいるんだと驚いた」。

 ピアノの横に慣れた手つきでカメラをセットした男性がいた。伏見区の介護士永原誠さん(49)。動画サイト「ユーチューブ」に自身のページ「MAKOTO/PIANO CHANNEL」を設け、演奏を投稿する。調律の行き届いたグランドピアノに、音がよく響くコンクリートの壁。「ここは音がいい。弾くからには多くの人に聴いてほしい」。航海をイメージしたオリジナル曲を演奏した。