木々や茶室がライトアップされ幻想的な雰囲気が漂う松花堂庭園(京都府八幡市八幡)

木々や茶室がライトアップされ幻想的な雰囲気が漂う松花堂庭園(京都府八幡市八幡)

電灯がともされたビニールハウス内で行われている「ナイトいちご狩り」(京都府八幡市内里・おさぜん農園)

電灯がともされたビニールハウス内で行われている「ナイトいちご狩り」(京都府八幡市内里・おさぜん農園)

 新型コロナウイルス禍が長期化する中、京都府八幡市の観光地がライトアップなど夜の催しに力を入れている。時間帯を分散させることで感染対策を図りつつ、来訪者を増やす狙いだ。混雑せずに楽しめる幻想的な雰囲気が人気で、関係者は「コロナ収束後の外国人観光客の誘致につなげたい」と先も見据える。

 「昼間と違った物語のような世界が広がり魅力的」。松花堂庭園(同市八幡)で7日、夜間特別開園が行われた。静寂に包まれた園内に、3棟の茶室や竹林、見頃を迎えた梅やツバキがあんどんの光で闇夜に浮かび上がり、訪れた市民らからは感嘆の声が漏れた。

 新型コロナの影響で同園の来園者数は例年の約6割と落ち込んでいる。巻き返しのため事前予約や入場時間の分散などの感染対策を取った上で、初の夜間開園を試行。350人の定員がすべて埋まり「若者が多く、新しい客層を取り込めた」と手応えを得た。

 石清水八幡宮(同)も12~14日に、ライトアップを京都山城地域振興社(お茶の京都DMO)の初企画で実施中。国宝の本殿前では大学生が手掛けたオブジェや巫女(みこ)の舞も披露され、境内は幽玄な雰囲気に包まれている。

 「八幡市はまだまだ知名度が低いが、名所旧跡も多く、観光地としての潜在力は高い」と同DMO。夜も観光客が滞在すれば「夕食もとってもらいやすい」と分析し、「観光後に市内の飲食店に回遊させ、地域での消費額を上げる体制をつくりたい」と話す。

 夜の観光を強化する動きはコロナ収束後に備え、インバウンド(外国人客)の誘致にも今後力を入れる狙いもある。そのためには「より深く魅力を感じられる『体験』が有効」と、松花堂庭園。市内の観光施設でこれまでほとんどなかった夜間利用に着目し、「庭園や茶室の貸し切りなど、外国人にとって満足度の高いプランを考えたい」とする。

 夜間帯に目を向けるのは、文化・歴史的な名所や施設ばかりではない。観光農園「おさぜん農園」(同市内里)は府内初の「ナイトイチゴ狩り」を行っている。昨年4月の緊急事態宣言で客足が激減したが「旬のイチゴを廃棄したくない」と、予約制で時間帯を分け夜の営業を始めた。

 金曜と土日曜の午後7時まで入場できる。栽培用のライトで明るく照らされたビニールハウスで、仕事帰りの人が「幻想的な空間。空気が澄んでいて、気持ちいい」とイチゴを摘み取っていた。

 コロナ禍に迫られて始めた取り組みながら、「実はイチゴは夜の方がおいしいんです」と同園の長村善和社長(37)。果実が冷える上、昼間に光合成した糖分が行き渡り甘さを感じやすい、という。「お気に入りのイチゴをゆっくり探せる夜の開園は満足度が高い。コロナ収束後も続けていきたい」と意気込む。