独善的な姿勢を、ますます強めたように見受けられる。

 先日、閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代=国会)での習近平指導部である。

 最終日に採択されたのは、香港の選挙制度の見直し案だった。

 香港政府のトップとなる行政長官や、これを選ぶ委員会、立法会(議会)の候補者に対して資格審査を行い、「愛国者による統治」を確保するという。

 立法会では、民意の反映しやすい直接選挙による議席を、減らすようだ。

 「愛国者」とは、中国共産党と政府を批判しない人物のことを意味し、審査を通じて民主派を排除するとみられる。

 昨年の香港国家安全維持法(国安法)施行に続く統制の強化、といえる。

 これでは、英国からの返還時、香港に高度な自治を認めた「一国二制度」は、ほとんど形骸化してしまう。

 習国家主席は、中華民族の偉大な復興を掲げ、台湾統一を目指している。地域の自治をないがしろにするのは、香港にとどまらないのではないか。

 新疆ウイグル自治区では、米国が「ジェノサイド(民族大虐殺)」と認定した人権侵害が懸念されている。内モンゴル自治区でも、モンゴル語教育を縮小するなど、漢族以外への抑圧的な統治をやめようとしていない。

 こうした動きに、国際社会の信頼は得られず、強く反発されるのは当然だろう。

 全人代で李克強首相は、政府活動報告を行い、国防政策について「訓練と戦争への備えを全面的に強化する」と述べた。

 2021年の国防費予算案は、約22兆6千億円に及ぶ。目標とする国内総生産(GDP)の成長率を上回る前年比6・8%増で、日本の21年度予算案における防衛費の4倍を超える額である。

 空母などの大型兵器の開発は、別枠の特別経費などから支出されるので、演習を増やすためだと考えられている。

 今後、南シナ海や東シナ海で、さらに威圧的な行動を展開していきそうだ。このままでは、日本を含む周辺諸国との緊張が高まるのは、避けられそうもない。

 新たに発足したバイデン米政権は中国を「唯一の競争相手」と位置付け、警戒している。習指導部が全人代での強硬な態度を取り続ければ、国益を損ないかねないことにも気付いてもらいたい。