新型コロナウイルスワクチンはいつになったら接種できるのか、不安を抱く人も少なくなかろう。

 65歳以上の高齢者に対する優先接種の開始まで1カ月となり、政府が準備を加速させている。

 住民が市区町村の接種会場ごとの空き状況を確認できるサイトを設けるほか、自治体や病院がワクチン流通量を把握できるシステムも本格稼働させるという。

 京都府や滋賀県も、ワクチン配布の優先順位を決定するなどの段取りを進めている。

 全国民に接種しようという前例のない事業である。漏れのないよう万全の態勢で臨んでほしい。

 ただ、肝心のワクチンを予定通り確保できるかは不透明だ。

 河野太郎行政改革担当相は先月、高齢者を含む4千万人超分を6月末までに全国配布する方針を示した。いまの輸入量と同じペースなら約19カ月もかかる計算だ。

 きのうの記者会見で、河野氏は5月以降は現在を上回る供給を見込んでいると述べ、6月までに約5千万人分を調達できるとした。

 ワクチンは、世界中で争奪戦が繰り広げられている。日本が供給を受ける米ファイザー社の主力工場がある欧州では、欧州連合(EU)が域内で生産されたワクチンの輸出管理を強化している。

 こうした状況で、政府が示した確保スケジュールが変更を余儀なくされる可能性も否定できない。

 ワクチンに対する国民の関心は高く、どれだけの数量が入ってくるかは自治体の接種体制にも大きく影響する。政府は確保できる見通しと根拠を明らかにするよう努め、正確に国民に示してほしい。

 接種は4月12日の週に始まり、本格化するのは同26日以降とみられる。現段階では届く量がはっきりしないため、集団接種会場や医師などの人員配置を詰め切れていない自治体も少なくないようだ。

 医師が少ない地域では、接種業務が通常医療へのしわ寄せとなることも心配されている。近隣地域と連携するなど、円滑な実施へ国や自治体の支援が欠かせない。

 政府は、ワクチン1瓶から6回分接種する前提でファイザー社と契約している。しかし、通常の注射器では5回分が基本とされ、計算上は確保量が少なくなる。

 政府は6回分取れる注射器の確保を急ぐが、現場が混乱しないよう配分方法を示す必要がある。

 一般の人への本格接種は、早くても7月以降となりそうだ。引き続き、従来の感染防止策を徹底することも忘れてはならない。