政府が新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた生活困窮者への緊急支援策をまとめた。

 子どもがいる低所得世帯には、ひとり親に限らず給付金を支給するほか、特例で生活再建資金を貸し付ける「総合支援資金」は、返済免除の対象に住民税非課税世帯を加えるとした。

 コロナ禍で安定しない生活の下支えを厚くする狙いだ。ただ、国内の感染拡大は1年以上に及び、多くの人が経済的、精神的に追い詰められている。スピード感に欠けた印象は否めない。

 コロナの影響はさらなる長期化も予想される。政府は迅速な給付や貸付に努め、再就職支援などの生活再建対策に力を入れる必要がある。

 低所得の子育て世帯には、これまでに2回、ひとり親に限って第1子に5万円、第2子以降は1人当たり3万円を支給してきた。今回、両親がいる世帯に対象を広げるほか、第2子以降の支給額を5万円に引き上げる。

 給付金を巡っては、困窮はひとり親に限らないとして支援団体が支給を求めていた。野党も一時金支給の法案を今国会に提出している。

 菅義偉首相は追加給付に慎重な考えを示していたが、世論を意識した与党内にも対象の拡大が必要との意見が広がり、支給を決断した形だ。だが、中間層でも急に仕事がなくなり、貯蓄を切り崩してなんとかしのいでいる人は少なくない。額や対象の拡充を求める声は根強い。

 本当に困っている人に支援が届いているのか、丁寧に目配りし、必要に応じて制度を柔軟に見直すことも必要だろう。

 制度の周知にも努めなければならない。総合支援資金などは生活保護に至る手前の支援策として期待される一方、申請方法の複雑さも指摘されている。

 労働者自らが申請でき、賃金の8割が原則補償される休業支援金・給付金では、シフトが減ったパートやアルバイトの女性で制度を「知っている」と答えた人が16%にとどまることが、昨年末の民間の調査で明らかになった。支援から抜け落ちる人が出ないよう、制度を浸透させる工夫が求められる。

 緊急支援策には孤独や孤立への対策として、自殺防止の相談などを行う民間団体への助成拡充も盛り込まれた。孤独感は見えにくく、本人も声をあげづらい。困窮の実態を把握し、着実に支援につなげる体制整備も急ぐべきだ。