超絶、美の意匠

 明治期に東京・横浜で輸出品として生み出された焼物を紹介する特別展「神業ニッポン 明治のやきもの-幻の横浜焼・東京焼-」が20日、甲賀市信楽町の滋賀県立陶芸の森陶芸館で始まる。欧米で爆発的人気を博しながら数十年で姿を消した超絶技巧の焼物を紹介する。

宮川香山「高浮彫桜鷺足付大花瓶」

 横浜港が江戸末期の1859年に開港すると、東京や横浜に陶磁器関係の業者が集まり、全国の産地から素地を取り寄せ、輸出向けに派手な絵付けや装飾を施した「横浜焼・東京焼」が誕生した。ウィーンやフィラデルフィアで開催の万国博覧会で紹介されると、技巧を凝らした意匠が日本趣味ブームを巻き起こし、一時は同港からの輸出額が全国陶磁器輸出額の3分2を占めた。

宮川香山「高取釉高浮彫蟹花瓶」

 一方、輸出品という性格から国内の現存作品は希少だ。今回は国内随一のコレクター田邊哲人氏所蔵を中心に140点を展示し、明治初期に生まれて関東大震災(1923年)で消えた「幻の焼物」を概観する。

井村彦次郎 絵付・山本祥雲「色絵花鳥文花瓶(対)」

 横浜焼の発展に重要な役割を果たした京都出身の宮川香山は、白鷺や縦横に伸びる桜の枝を立体的に貼り付けた「高浮彫桜鷺足付大花瓶」などを展示。横浜随一の陶磁器商、井村彦次郎関連は、日本画家で陶磁画工として活躍した絵付職人山本祥雲の「色絵花鳥文花瓶」などを紹介する。

高坂藤右衛門「色絵魚貝文茶器セット」

 東京焼の先導者井上良斎による擬人化したカエルを厚く盛り上げた「色絵遊蛙文花瓶」は精緻な技巧が目を引く。波千鳥文様の皿や和服姿の女性を描いたティーセットは外国商館で取り扱われながら日本伝統的な絵柄で興味深い。東京絵付を代表する瓢池園や森村組の秀作の皿や、勇壮な武者を鮮やかな筆さばきで描写した花瓶も会場に花を添えている。

宮川香山「釉下彩白盛鶏図大花瓶」
絵付・瓢池園 素地・深海墨之助「色絵紅葉山水文耳付花瓶」
森村組 絵付・杉村作太郎「瑠璃金盛唐草文皿」 株式会社ノリタケカンパニーリミテド蔵
山下民松 素地・アビランド社「色絵金彩風景図長皿」 個人蔵


【会期】3月20日~6月6日 月曜と5月6日休館(同3日は開館)
【開館時間】午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会場】滋賀県立陶芸の森陶芸館(甲賀市信楽町勅旨2188-7)0748(83)0909
【入館料】一般700円、高校・大学生520円、中学生以下無料(20人以上は団体割引あり。ネット割引券利用で10%オフ)
【主催】滋賀県立陶芸の森 京都新聞