なぐ余呉湖にアカメヤナギと山並みが映り、横山岳が夕日に染まる。鏡湖が対称的な風景をつくる(2月5日、長浜市余呉町川並)

なぐ余呉湖にアカメヤナギと山並みが映り、横山岳が夕日に染まる。鏡湖が対称的な風景をつくる(2月5日、長浜市余呉町川並)

西日にきらめく湖上を飛ぶカモの群れ。周囲6・5キロほどの湖は渡り鳥の越冬地でもある(2月25日)

西日にきらめく湖上を飛ぶカモの群れ。周囲6・5キロほどの湖は渡り鳥の越冬地でもある(2月25日)

 水中から幹を伸ばすアカメヤナギの樹影と背後の山並みが、静かに凪(な)ぐ湖面に映る。根雪に覆われた横山岳が落陽を浴び、ほのかな桃色に染まった。

 滋賀県長浜市余呉町の余呉湖は「鏡湖(きょうこ)」とも呼ばれ、穏やかな湖面が水鏡の世界を演出する。「見る位置や時間帯で景色が変わり、飽きることがない」と地元の布施善明さん(73)は胸を張る。

 合戦の地となった賤ケ岳が琵琶湖と隔てる約2平方キロメートルの湖。天女が舞い降りた羽衣伝説や干ばつから民を救うため身投げした菊石姫(きくいしひめ)の伝説が残り、数々の物語を秘める。

 もとは流れ出る川のない閉鎖湖だった。大がかりな開発事業を経てダム湖に。湖畔に道が通り、水辺は自然石の護岸工事が施された。所々にヤナギやヨシが育つ。

 多雪地帯で冬のワカサギ釣りが風物詩だが、今年は雪が少ない。湖にきらめく陽光は、日増しに春のぬくもりを帯びていく。水鳥が飛んだ。越冬を終え、北に旅立つ日も近い。