奈良少年刑務所の子どもたちの詩を紹介しながら講演する寮さん(京都市中京区・ハートピア京都)

奈良少年刑務所の子どもたちの詩を紹介しながら講演する寮さん(京都市中京区・ハートピア京都)

2017年3月まで奈良少年刑務所として使用されていた旧奈良監獄。国の重要文化財になっている(奈良市)

2017年3月まで奈良少年刑務所として使用されていた旧奈良監獄。国の重要文化財になっている(奈良市)

 社会福祉法人「京都いのちの電話」の公開講演会が京都市中京区のハートピア京都であった。作家で詩人の寮美千子さんが奈良少年刑務所で9年にわたり詩作の授業を行った経験を通して「人は受け止めてくれる人がいると分かることで変われる」と呼び掛けた。

■少年刑務所の子は、虐待や貧困で追い詰められている

 寮さんは2007~16年に同刑務所で更生教育に携わり、特にコミュニケーションが苦手な186人と接した。当初は殺人や強盗の非行名に驚いたが、次第に「加害者になる前に虐待や貧困で追い詰められた子が多い。心の扉を閉めて自分の感情さえ分からない子にいきなり反省を求めても無理」と考えるようになったという。

 寮さんは、「雲」の題名で「空が青いから白をえらんだのです」という1行の詩を作った少年の例を紹介。寮さんによると、この少年は、父から金属バットで殴られた傷痕が頭に残っており、母が生前に父から暴力を受けていたのに止められなかった自責の念や、「つらくなったら空を見てね。私はきっとそこにいるから」という母の言葉を詩に込めたと発表した。

■母を知らない子「空を見上げたら会える気がした」

 この発表に共感した別の少年は「僕は母を知りません。でも空を見上げたらお母さんに会えるような気がしました」と生い立ちを初めて告白。その後は自傷行為が止まって周囲の人生相談に乗ってあげられるまでに成長したという。

 寮さんは「本人が癒やされることで初めて傷つけた人のことに思い至れる。詩の教室で変わらなかった子は1人もいない。否定せず受け止め合える場が大切」と語った。

■寮さんら28日に対談 京都・下京で

 作家で詩人の寮美千子さんと中村正立命館大教授の対談が28日午前10時から、京都市下京区のひと・まち交流館京都で開かれる。

 京都市市民活動総合センターが主催する。寮さんと中村さんは奈良少年刑務所で更生や再犯防止の心理教育に携わった経験があり、「『正しさ』のunlearn(学びほぐし)~誰を支援するのか?」をテーマに語り合う。無料。先着80人。申し込みは同センター075(354)8721。