利用者にとっては、朗報といえよう。

 銀行業界でつくる全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が、銀行間の送金手数料を、10月1日から一律62円に引き下げると発表した。

 現行は、送金額が3万円未満なら117円、3万円以上は162円なので、下げ幅は大きい。これを受けて各行は、利用者の振込手数料を値下げするとみられる。

 個人だけでなく、銀行を通して加盟店に入金するキャッシュレス事業者らも恩恵を受ける。

 いずれも負担が軽減するのだから、歓迎されるはずだ。

 銀行間の送金手数料は、銀行が別の銀行に送金する際に支払うものである。

 銀行同士が個別に交渉して決めるとされているが、実際には各行が横並びの対応をして、40年以上も固定されている。

 IT化の進展によって、事務処理のコストは下がっているため、公正取引委員会が昨年、業界に見直しを求めていた。

 引き下げは当然だが、遅すぎるとも指摘できよう。

 利用者の振込手数料は、この送金手数料を基本に、人件費やシステムなどの経費と利益を上乗せして算定されている。

 三菱UFJ銀行など大手3行では、自行のキャッシュカードを使って他行に振り込むと、220~440円かかる。

 今回の下げ幅が、そのまま反映されるとして計算すれば、1回当たり最大100円安くなる。

 振込手数料の具体的な引き下げ額は、各行が独自に決める予定である。横並びの対応をやめ、それぞれの経営戦略に基づいて設定すべきだ。

 銀行間の手数料は、大手行から地方銀行に支払われるケースが、その逆よりも多いとされる。

 地銀は、部品などの供給網を支える中小企業を主な取引先としている。中小企業は大企業に納品して、代金を受け取るので、大企業と取引する大手行が、地銀に送金するというわけだ。

 今回の引き下げによって、大手行は経費を削減できる見通しとなり、その分を顧客に還元することも検討しているそうだ。

 一方、地銀は、大手行から受け取る手数料が減る見込みで、業界では「影響は決して小さくない」との声が上がっている。さらに厳しさを増す経営環境を克服するには、ビジネスモデルの変革が欠かせないだろう。