新型コロナウイルスの感染が広がる中、発熱などの症状がなくても自費検査を受ける人が増えている。不特定多数との接触があったり、持病に関連してコロナへの不安が大きい人などを中心に、ニーズが高まっているとみられる。

 検査には、PCR、抗原、抗体の3種類があり、目的や精度が異なる。活用に当たっては、それぞれの特徴を正しく理解することが大切だ。

 PCRと抗原検査は、ともに現在感染しているかどうかを、鼻やのどの奥の粘液、唾液を使って調べる。PCRは、ウイルス特有の遺伝子配列を専用の装置で検出し精度が高いが、結果判明までに時間がかかる。抗原検査は、簡単なキットですぐに結果が出るが精度が低い。

 抗体検査は、血液中の抗体の有無から過去の感染歴を調べる。無症状で知らないうちに感染した可能性があることも分かる。精度はキットごとのばらつきが多いとされる。

 いずれも自宅などで検体を採取することが可能で、PCR検査以外は検体の郵送が不要なキットが販売されている。

 このような手軽さから、インターネット上には数千円で検査を受けられるなどとした広告があふれている。だが、実施する民間企業や医療機関の一部には判定能力に疑いがあるとも指摘されている。

 厚生労働省によると、PCR検査を行う全国約2千カ所の施設のうち、公費で賄われる行政検査を主に扱う563施設の判定正答率は96・4~99・8%と高かった。一方、自費検査が主体となる残りの施設の実態は不明だとしている。

 同省はすべてのPCR施設を対象に精度の検証を行うとしているが、それに基づいて信頼性の高い機関を公表するなど、市民への情報提供にも努めてもらいたい。

 今後も増加が予想される自費検査では、受検者が陽性と判定された場合の仕組みを整えることも求められる。

 医療機関での診察を伴う行政検査では、医師からの届け出を通じて保健所が感染者を把握できる。一方、自費検査では医師の診断がない場合、陽性となっても行政への申告義務がない。こうしたケースでは、患者が医療機関の受診を迷っているうちに感染を周囲に広げてしまう恐れがある。

 自費検査を実施する事業者も、陽性判明者への医療機関の紹介や相談対応などに一定の責任を持つべきではないか。厚労省は保健所などでの情報集約を含め、現場の意見を聞きながらルール作りを急ぐ必要がある。

 政府は、緊急事態宣言が解除された地域でコロナ感染の再拡大を防ぐため、繁華街などで無症状の人を対象にした無料のPCR検査を始めている。感染状況や傾向の把握が目的で、検査数を段階的に増やして1日1万件を目指している。

 感染再拡大の兆候をつかむ上で、自費検査の拡大も重要な役割を果たすはずだ。一部自治体は、高齢者や介護施設の入所者らを対象にした検査に補助金も出している。政府はこのような動きを支援してほしい。