インドとパキスタンの緊張が再び高まっている。

 隣り合う両国は互いに核兵器を持って対立する。本格的な戦争は絶対に避けなければならない。国際社会は緊張緩和に向け働きかけを強めるべきだ。

 きっかけは、両国が領有権を主張するインド北部のカシミール地方で起きた爆弾テロ事件だ。インドの治安部隊40人が死亡した。

 カシミール地方のインドからの分離・独立を求めるイスラム過激派が攻撃を認めた。

 これに対し、インドがパキスタン領内のイスラム過激派の拠点とされる地域を空爆したことから対立が激化し、両国の空軍機が交戦、相互に相手国機を撃墜した。

 カシミール地方をめぐる対立は1947年に英国から両国が別々に独立したときから続いている。

 3度にわたる印パ戦争の原因となり、対立を深める中でインドが74年、パキスタンも98年に核実験を強行した。

 ただ、長く対立を続けてきたとはいえ、戦闘機が交戦して互いに撃墜したという前例は少なく、今回は極めて深刻な事態といえる。

 両国政府には、互いに強気の姿勢を崩しにくい事情がある。

 インドのモディ首相はヒンズー至上主義を掲げ、イスラム教に対して厳しい姿勢を取ることで政権の求心力を高めてきた。

 今回の事態でも、総選挙が来月に迫る中、対パキスタンで強硬姿勢を貫くことが支持獲得につながるという計算があるようだ。

 パキスタンのカーン首相は有名なクリケット選手で知名度はあるが、政界での基盤は強くなく、主に軍の支持を受けているという。

 両国民の間にも歴史的な感情の対立が横たわる。引くに引けなくなる前に、首脳同士が対話へ一歩踏み出してほしい。

 パキスタンは、撃墜して拘束したインド空軍機の操縦士をインド側に引き渡した。カーン首相は「全ての戦争は判断の間違いで起こる」と話している。インド側は応じる気配を見せていないが、沈静化の糸口となることを期待したい。

 国際社会も両国に自制を強く求める必要がある。両国に対し特に影響力のある米国や中国は対話に入るよう促している。国連も仲裁の姿勢を見せている。日本も連携してほしい。

 両国は核拡散防止条約(NPT)に未加盟だが、日本はインドとの間に原発を輸出できる協定を結んだ。妥当な判断だったのかも問われる事態ではないか。