目標がかすむ中、対症療法だけで済まないのではないか。

 日銀が金融政策を点検し、現在の大規模緩和策の大枠を維持しつつ、その副作用を軽減するための修正を決めた。

 株式市場をゆがめると批判のある上場投資信託(ETF)の買い入れ額を縮小する道を開き、収益悪化に悩む金融機関への実質的な補助金制度を導入するなどとした。

 黒田東彦総裁は「政策の継続性や持続性を高め、強力な金融緩和を粘り強く続ける」ことで2%の物価上昇目標を実現するとした。

 黒田氏の就任当初、脱デフレへ2年間の短期決着を掲げて大規模緩和策を続けて約8年になる。いっこうに目標は達成せず、新型コロナウイルス禍で今後さらに政策が長期化するのを見据え、市場機能の低下などの影響を無視できなくなって手当てしたといえよう。

 点検は、コロナ禍での政策の効果と副作用を確認すると昨年12月に表明し、取り組んできた。

 資金供給策のETF購入は、年間6兆円程度という目安を撤廃し、株価の値上がり時には買い入れを減らせるようにした。

 大量購入で保有額は時価50兆円規模となり、日本株の最大株主とされる。実力以上に株価がかさ上げされる弊害への見直しだが、相場急落時は積極的に購入するともしている。なお株価対策の色彩が濃いことの是非が問われよう。

 日銀が0%程度に誘導している長期金利は、上下0・25%の範囲内で変動を容認した。国債を長期保有する年金や生命保険の運用改善を後押しする見直しだ。

 日銀は国債の大規模な買い入れを続けており、政府の債務残高は3月末で1292兆円に上る。

 日銀の超低金利誘導は政府の利払い負担を抑える一方、金融機関の収益悪化を招く相反の構図にある。新たな銀行支援策を含め、さまざまな対応策が継ぎはぎされ、抜き差しならない手詰まりに陥ってはいないか。

 そもそも大規模緩和策は、空前の緩和水準を短期集中して支える間に、経済の成長力回復を図るはずだった。それが育たぬまま物価上昇目標が自己目的化し、日銀が引き受け手の金融・財政政策への依存が深まっている感は否めない。

 コロナ禍に苦しむ景気の下支えのため大規模緩和の継続は当面やむを得ないだろう。ただ、弥縫(びほう)策を重ねるのでなく、物価上昇目標の在り方を含め、先行きの「出口」を探る抜本的な政策見直しから目を背けるべきではない。