国土交通省が発表した1月1日時点の公示地価は、全用途の全国平均が前年比マイナス0・5%となり、6年ぶりに下落に転じた。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、繁華街や観光地の客足が落ち込んで店舗用地などの需要が減退したためとみられる。

 訪日外国人客の拡大などを受けた全国的な地価の上昇基調に急ブレーキがかかった形だ。

 ただ、前年上昇率からの下落幅は1・9ポイントで、リーマン・ショック後の2009年の5・2ポイントほどではない。コロナの影響は地域ごとにまだら模様にみえる。

 それぞれの「潮目の変化」をしっかりと見極め、コロナ後に向けてまちづくり政策を点検、見直していく必要があるだろう。

 地価は、土地活用による収益への期待値を映し、「地域活力の体温計」とも呼ばれている。

 コロナ禍が直撃したのが商業地だ。訪日客需要で急上昇した大都市や観光地ほど反動が大きく、京都市はプラス11・2%からマイナス2・1%に下落。中でも東山区は差し引き30ポイント超も急落した。飲食店やホテルの収益が悪化し、オフィスを含め撤退が相次いだ。

 感染が小康状態だった昨年後半は横ばいだったが、今年1月の緊急事態宣言再発令で需要は再び弱含んでいる。当面、訪日客らが戻る時期は見通しにくく、厳しい状況が続くとみなければなるまい。

 人口減少が続く地方圏も下落基調にあるが、札幌、仙台、広島、福岡の主要4市は再開発地域を中心にプラス3・1%と需要が底堅い。人口規模や交通の便利さなどで明暗が分かれる二極化が一層進んでいることに留意すべきだ。

 住宅地も雇用悪化による買い控えで下落した中、コロナ禍がもたらす別の変化にも着目したい。

 リモートワーク普及などで昨夏から東京都の人口の転出超過が続き、首都圏に近い別荘地は約10%値上がりした地点もある。週末だけを郊外で過ごす「二地域居住」需要も増えているという。東京一極集中の是正につなげられるかが注目されよう。

 京都市では観光ホテル開発に代わり、転用を含めたマンション建設が活発化している。「お宿バブル」による地価急騰で子育て世帯の流出が問題となったが、なお高額物件が中心のため呼び戻しは容易でなさそうだ。

 市独自に非居住住宅に課税する「別荘税」導入などを掲げるが、後手の対応で市街地空洞化が進まないよう、持続可能で整合性ある都市ビジョンを明示すべきだ。