危険な挑発が、再開されてしまった。
北朝鮮が一昨日の早朝、弾道ミサイル2発を、日本海に向けて発射した。
東アジア地域の平和と安全を脅かす行為だ。国連安全保障理事会の決議に違反するのは明らかで、自制を求めたい。
弾道ミサイルの発射は昨年の3月29日以来、約1年ぶり。米国がバイデン新政権に代わって、初めてである。
トランプ前大統領は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記とのトップ会談に臨み、米国に届かない短距離ミサイルの発射を、あまり問題視しなかった。
新政権の出方は、どうなのか。挑発することで、様子をうかがったようである。
弾道ミサイルは、北朝鮮東部から約450キロ飛行して、日本海に落下した。日本の排他的経済水域(EEZ)の外だった。
心配なのは、日米などが、発射に向けた明確な予兆を察知できなかった点である。
北朝鮮は、偵察衛星や電波の傍受による監視を逃れるために、発射台を備えた車両を、機動的に運用したようだ。
朝鮮中央通信は、開発を進めていた「新型戦術誘導弾」の発射実験に成功した、と伝えた。
これは、変則的な軌道を描いて飛行するミサイルなので、既存の防衛システムでは、対応が難しいともされている。
金正恩氏は、今年1月の党大会で、固体燃料の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や多弾頭技術、原子力潜水艦などの核戦力を増強する方針を表明した。
核の脅威が、さらに高まりそうである。
今回の発射に、国連は強い懸念を示し、安保理の北朝鮮制裁委員会の非公開会合を開く。
しかし北朝鮮は、米国と韓国の軍事演習を非難しながら、後ろ盾となる中国と連携し、核開発を続けようとするだろう。
一刻も早く、歯止めをかけねばならない。
バイデン米大統領は、北朝鮮と対話するなら、朝鮮半島の非核化を最終目標とする、と強い姿勢を示す。
バイデン政権の対北朝鮮政策の策定作業は、最終段階を迎えており、近く発表する見通しになっているという。
挑発をやめさせるため、日米韓3カ国の高官は来週、米ワシントンで協議する。
国際社会が協力し、効果のある対策を見いだしてもらいたい。