米国との貿易摩擦が、強い逆風を巻き起こしている。

 きのう開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)で、李克強首相は政府活動報告を行い、2019年の実質国内総生産(GDP)の成長率の目標を、「6・0~6・5%」に設定すると発表した。

 前年の目標として掲げた「6・5%前後」を引き下げることになる。政府として、景気の減速を認めたといえよう。

 日本の国会に当たるとされる全人代では毎年、首相が前年の結果を総括したうえで、今年の施政方針を示す。

 今回は、18年の成長率の実績が6・6%を達成し、年初の目標を上回ったとされた。しかし、高度成長を続けていた中国にとっては、28年ぶりの低水準にとどまっている。19年はこれを、さらに下回る目標設定となった。

 実体経済に目を向けると、かなり厳しい状況にある。

 もともと金融規制などの強化によって、企業の資金繰りが悪化していたが、そこに米国との貿易摩擦が深刻化し、双方が関税引き上げを繰り返す事態にまで至っている。企業の破綻や、労働者のリストラが相次いでいるという。

 それでも、6%台の成長を見込むのは、20年にはGDPを10年比で倍増させる、との政府公約があるからだ。

 今回の全人代では、GDPに対する財政赤字の比率を高めることを容認し、財政出動を拡大する構えをみせている。

 中国の景気減速は、世界経済の不安材料でもある。先月の発表で、日本の貿易収支は4カ月連続の赤字となった。中国向け輸出の大幅減が響いており、企業の業績に暗い影を落としている。

 この際、景気への積極的なてこ入れが求められよう。

 また、外国企業の技術を強制的に移転させることを禁じる「外商投資法」を成立させる方針だ。米国側の要求に応じる措置であり、公正な経済活動のためにも実現してほしい。これによって、貿易協議が早期に決着すれば、景況もおのずと改善するはずだ。

 中国は、予算案に約19兆8千億円の国防費を計上した。伸び率は、前年を下回るとはいえ7・5%増となり、依然として拡大を続けている。

 南シナ海などで軍事的な存在感が強まり、国際社会の懸念は募る一方である。投資効果のより高い政策に、予算を振り向けるべきではないか。