新型コロナウイルス感染患者の重症化に関連がある核酸物質を効率的に計測できる全自動分析システム(京都市中京区・島津製作所)

新型コロナウイルス感染患者の重症化に関連がある核酸物質を効率的に計測できる全自動分析システム(京都市中京区・島津製作所)

 島津製作所は29日、熊本大の研究成果をもとに、新型コロナウイルス感染患者の尿や血液成分から重症化を予測する分析法を確立したと発表した。同社の主力製品、液体クロマトグラフ質量分析計を用い、短時間で多量の検体が分析できる。感染の有無を判別するPCR検査だけでは分からない重症化の兆候を効率的に捉える技術として普及を図る。

 熊本大の研究チームは、新型コロナウイルスやヒトの細胞内のRNA(リボ核酸)が分解されてできる代謝産物「修飾ヌクレオシド」のうち、感染者の尿や血中だけに多く含まれる物質を特定。数値が高いほど重症化しやすい傾向があることも突き止めた。

 尿や血液には同ウイルスが存在しないとされ、扱う際の感染リスクが低減できる。だが検体から修飾ヌクレオシド以外の物質を取り除く前処理や分析に手間がかかる課題があり、島津製などが新手法を開発した。

 装置メーカーのアイスティサイエンス(和歌山市)が多量の検体を自動で前処理する装置を開発。島津製の装置とつなげて搬送し、全自動で分析するシステムを構築した。この結果、前処理と分析に65分を要した時間が12分に短縮され、大幅なスピードアップが実現。島津製は6月にも専用の分析ソフトを医療機関や検査会社向けに投入する。

 京都市中京区の島津製本社で記者会見した熊本大大学院の富澤一仁・生命科学研究部長は「日本のメーカーと一緒に新たな技術を社会実装できた意義は大きい」と強調。島津製の向紀雄・ライフサイエンス事業統括部長は「この技術を世界に広めたい」と語った。

 島津製は医療機器の承認申請を進める一方、当面は研究用として提供し、分析結果を医師の診断の補助に役立ててもらう。