クーデターで権力を握ったミャンマー国軍が、市民への弾圧をエスカレートさせている。

 27日の国軍記念日には、治安部隊による反軍政デモへの銃撃などで少なくとも114人が犠牲になったという。子どもの死者も出ているほか、重傷の男性を生きたまま火の中へ投げ入れるなど、凄惨(せいさん)な暴力も明らかになっている。

 現地の人権団体によると、クーデター以来の弾圧による死者は420人を超えた。常軌を逸した民衆への無差別攻撃がこれ以上繰り返されてはならない。国際社会は足並みをそろえ、弾圧をやめさせる取り組みを具体的に進める必要がある。

 国軍は、軍総司令官を議長とする国家統治評議会の設立を一方的に発表し、武力を背景に軍政を正当化しようとしている。

 これに対し、国民はデモだけでなく、平和的な手段で民政復活を求めている。医療従事者から始まった国軍への「不服従運動」は官公庁や一般企業にも広がり、出勤せずに自宅にとどまる「静かなスト」で軍政への抗議の意思を示している。

 世界銀行がミャンマーの今年の成長率をマイナス10%と予測するなど、経済の停滞に国軍は焦りを強めている。ストに合わせて休業を発表した企業の幹部を軍施設に連行し、力ずくで事業再開を迫る事態も起きている。軍政統治が行き詰まれば、国軍が国民に対してより強硬策に出る恐れもある。

 国軍の弾圧に国際社会は非難を強めるが、その姿勢は一枚岩とは言えない。米国や欧州連合(EU)が国軍関係者や関連企業への経済制裁で圧力を強める一方、中国やロシアは国軍記念日の軍事パレードに代表団を派遣するなど、軍政批判を避けている。

 日本は多数の死傷者が出たことに関し、茂木敏充外相が「強く非難する」との談話を発表し、市民への暴力の即時停止や拘束が続くアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らの解放などを強く求めたが、強い措置には慎重だ。政府開発援助(ODA)の新規案件停止を検討するにとどまり、具体的な方針を打ち出していない。

 ミャンマーにとって日本は最大の援助国で、400社を超える企業が進出している。政府は防衛交流などで国軍幹部とも独自パイプを持っているとされる。

 傍観しているだけでは日本の人権意識が問われかねない。軍政を容認しない姿勢を示し、民政復帰を強く促すべきだ。