政府の地震調査委員会は、今後30年以内に震度6弱以上の強い地震が起きる確率などを示した「全国地震動予測地図」の2020年版を公表した。

 南海トラフの巨大地震の影響がある太平洋岸沿いを中心に高い確率となっている。一方で、確率が減少した地域もある。数値の高低に一喜一憂することなく、必要な備えを固めたい。

 2年ぶりとなる今回の改定は、南海トラフ地震などのプレート境界型地震の発生パターンに多様性を持たせたのが特徴だ。過去に起きたと分かっている地震については重要度を大きく、そうでないものは小さく計算し直した。

 その結果、南海トラフの東端までプレート破壊が起きる超巨大地震の発生確率が減少したことに伴い、静岡、山梨、長野の一部で強い揺れが起こる確率が下がった。

 甲府市役所付近で30年以内に震度6弱以上の揺れが起こる確率は36%で、18年予測より14ポイント下がったとはいえ高水準のままだ。調査委は3%以上は危険度が「高い」として警戒を呼び掛けており、油断はできない。

 地盤の固さや地形に関するデータの見直しもあり、都道府県庁所在地の市役所周辺の発生確率は、京都市役所が前回比2ポイント増の15%、大津も同2ポイント増の13%となった。大阪は同25ポイント減の30%、横浜は同13ポイント減の38%となるなど、地域によって大きな変動もあった。

 地震動予測地図は、250メートル四方の地点ごとに評価している。最新の調査で軟弱地盤であることが判明し、大きな揺れに襲われる危険性が増した地点もある。注意が必要だ。

 地震の発生確率は、原則として過去に起きた地震の履歴や地表に表れている断層など、既知の情報を基に算出している。今回の改定も、この2年間に画期的な新発見があったのではなく、計算手法など細部の見直しによるものだということを頭に入れておきたい。

 発生確率はあくまで参考として捉え、自分の住んでいる地域の確率は調査委が公開している地図で改めて確認することが大切だ。

 正確な地震予測は現在の技術ではまだ不可能で、不確実性を多くはらんでいる。日本は世界でも特に地震が多い国であり、専門家は「最も危険度が高い色で日本全国が塗られている」との気持ちで備えるべきだと指摘している。

 防災備品の点検や避難経路の確認を普段から怠らないようにしたい。