寺町通を見つめるシロ店長。りんとした顔つきだが、性格は穏やかだ(京都市中京区・船はしや総本店)

寺町通を見つめるシロ店長。りんとした顔つきだが、性格は穏やかだ(京都市中京区・船はしや総本店)

 京都市中京区の豆菓子店「船はしや総本店」には「看板猫」がいる。店前の寺町通をじいっと見つめる姿が評判を呼び、全国からも猫好きが訪れている。飼い主の辻美千子さん(69)は「猫たちを通じていろんな縁が結ばれた」と語る。

 店には4匹の猫がおり、よく店番をするのがシロ店長(オス、11歳)。人懐こい性格で、店前に座る姿が評判を呼び、6年前、辻さんが「店長」に指名した。就任後、テレビや雑誌に紹介されると、客足もさらに増え、2017年には写真家の岩合光昭氏の写真集「ねこの京都」にも掲載された。

 他の3匹も気まぐれで店に顔を出す。シロ店長の兄のピー太郎(オス、11歳)、迷い猫だったフー(オス、推定7歳)とピア(メス、同6歳)。でも辻さんは「もともと猫を飼う気はなかった」と打ち明ける。ペットの病気や死別のつらさを、経験で知っていたからだ。だが14年前、知人の飼い猫だったエミリーを引き取ることになると、店には猫が増えた。

 エミリーはシロ店長とピー太郎を産み、客からも人気だったが、2年前に天国へ。辻さんは悲嘆に暮れたが、これまで店を訪れた多くの人も同じようにエミリーの死を悲しみ、店まで弔いに訪れた。命日には今でも花が届くという。

 「悲しみを分け合ってくれる方がいるのはありがたい。多くの人に愛されて、飼っていてよかったと思える」。そう話す辻さんの隣で、シロ店長は変わらず店番を続ける。