2022年度から主に高校1年生が使用する教科書の検定結果が公表された。新学習指導要領に基づいた初めての教科書となる。

 資料や写真を多用し、随所に「問い」を設けて話し合いや考察を求める構成が目立つのが特徴だ。理念に掲げる「主体的、対話的で深い学び」を実現できるよう、教育現場の創意工夫が求められる。

 新指導要領は科目を大幅に再編した。主権者教育を担う「公共」や、日本と世界の近現代史を融合した「歴史総合」、防災教育にも力点を置く「地理総合」、プログラミングを学ぶ「情報Ⅰ」などを新設して必修とした。

 学習の題材として、女性が不利になるよう得点操作されていた医学部不正入試問題、日本が不参加となった核兵器禁止条約など、生徒の幅広い議論や考察を促す話題を取り上げる教科書もあった。新型コロナウイルスのワクチン接種や同性婚といった今日的なテーマも採用されている。

 選挙権年齢が18歳となり、22年度には成人年齢も引き下げられる。政治参加を促す模擬選挙や契約トラブルの回避策などにも言及した教科書をうまく活用し、生徒の政治や社会への関心と学びへの意欲の向上につなげてほしい。

 自ら課題を見つける深い学びを実現するには、教員の指導力向上が不可欠だ。

 新科目の教科書の平均ページ数を現行科目と比べると、「地理総合」は18・6%増、「現代社会」は14・2%増だった。国語では30%以上も増えている。知識詰め込み型の教育にならないよう、教え方に柔軟さが要求される。

 「情報Ⅰ」では、専門的に教えることができる教員数が地域によってばらついていることも指摘されている。改善が必要だ。

 デジタル教科書の導入に向けた検討が進んでおり、普段の授業や家庭学習でパソコンやインターネットの積極的な利用も考慮しなければならない。教員にも発想の転換が求められそうだ。

 文部科学省や各教育委員会は、教員の養成と研修、地域や企業と協力した体験型学習の充実など、授業の変革に向けた取り組みに力を入れてもらいたい。

 高校での学びを変えるには大学入試の見直しも重要となる。

 大学入学共通テストも新指導要領に合わせて現在の6教科30科目を7教科21科目に再編する。知識量だけでなく深い考察力を問う問題への切り替えが進むよう、高大連携で改革に努めてほしい。