新所長に就任し、抱負を述べる山極氏(1日、京都市北区・総合地球環境学研究所)

新所長に就任し、抱負を述べる山極氏(1日、京都市北区・総合地球環境学研究所)

 総合地球環境学研究所(地球研)の所長に新たに就任した山極寿一氏(69)が1日、京都市北区の地球研で会見を開いた。ゴリラなど霊長類の研究の第一人者として知られる山極氏は「自然の多様性は文化の多様性にも通じる。これからは文化に焦点を合わせて環境問題を考えたい」と抱負を語った。また京都大総長や日本学術会議会長などを歴任した経験も踏まえ、新しい価値観を社会に発信することを強調した。

 山極氏は京大理学部卒。理学研究科教授などを経て2014年10月に京大総長、17年10月に日本学術会議会長に就任、いずれも昨年9月まで務めた。

 山極氏は、地球研がテーマに掲げる環境問題の解決について「自然の循環性に着目し、それぞれの地域に合った事業が必要となる」と強調。日本霊長類学のパイオニア今西錦司と哲学者西田幾多郎の思想の関連性も指摘し、「自然科学だけではなく人文社会学の視点も含めた広い視野で環境問題を捉えたい」と語った。

 日本学術会議の任命拒否問題にも触れ、「政治家は、政治に物申す人文社会学系の学者を嫌う。この問題では日本の政治の一番悪いところが出た」と持論を述べた。

 会見終盤では京大総長時代を振り返り「(総長としては)研究より組織全体を考えなければならなかった。『政治』だった。大学経営は研究者にはできない」と苦笑いする場面も。「地球研ではより研究に近い立場になり、テーマも幅広いのでわくわくしてしている」と笑顔で話した。山極氏の任期は25年3月までの4年間。