公職選挙法が禁じる選挙区内での寄付行為に関する疑惑が浮上していた菅原一秀経済産業相が、辞任した。

 菅原氏は、身を引くのは国会運営への配慮と説明したが、首相官邸は菅原氏に辞任を検討するよう求めたという。事実上の更迭とみていい。

 菅原氏は十数年前の話として有権者にメロン、カニなどの贈答品を配ったと週刊文春で報じられ、国会で追及を受けていた。

 さらに24日には、選挙区内の有権者に秘書が今月17日に香典を渡したなどとする新たな疑惑も次々と浮かんだ。

 それから一夜で早期の更迭に及んだのは、問題を長引かせて宿願である憲法改正の議論などを遅らせたくないという安倍晋三首相の思惑が強く働いたとみられる。

 だが、菅原氏の疑惑は閣僚を辞任して済む話ではない。公選法違反に問われ、有罪になれば、当選無効や最長5年間の公民権停止となる可能性もある。

 菅原氏は辞表提出後の記者会見で「秘書が香典を出したことは後で知った」と述べ、自らの指示ではないと強調したという。

 それなら国会の場できちんと経緯などを説明するのが筋だ。首相も「任命責任は私にある」というなら、疑惑をうやむやに終わらせず、説明責任を果たすよう指導するべきである。

 香典を巡っては、2015年に当時の高木毅復興相も選挙区での支出が問題となり、国会で追及された経緯がある。

 にもかかわらず、またぞろ疑惑が繰り返されるのは、首相が「任命責任」を言葉だけですませ、疑惑解明を曖昧にしてきたからでないか。

 菅原氏の事務所は寄付が常態化していたとも指摘される。香典のほかにも、故人の枕元に供える枕花を事務所から発注したり、大型連休前後には後援会幹部にリンゴを配った疑いもあるという。

 有権者への寄付は選挙結果をゆがめ、国会議員や政権の正統性が疑われることにもなりかねない。

 第2次安倍政権発足以降、閣僚辞任は9人目だ。

 日米貿易協定承認案などの処理にあたる重要閣僚が、1カ月半で辞任する事態に政権の緩みを指摘する声も出ている。

 そもそも菅原氏のメロンなどの贈答疑惑については別の週刊誌も早くから伝えていた。なのになぜ入閣させたのか。首相の説明責任も問われる。