新型コロナウイルスに立ち向かうには、その起源を明らかにしておかねばなるまい。

 2019年12月に新型コロナの症例が最初に確認されたのは、中国湖北省武漢である。ここを訪れた国際調査団の報告書が、世界保健機関(WHO)によって公表された。

 武漢の研究所から、ウイルスが漏えいしたとの説を否定し、自然界に存在していたものが、中間宿主の動物を介して人間に感染した可能性が高い、と結論付けた。

 ただ、新型コロナに似たウイルスが、コウモリやセンザンコウから検出されてはいるものの、中間宿主となった動物は特定されていない。

 WHOのテドロス事務局長は、「さらなるデータや調査が必要だ」とした。ウイルスの起源解明に向けた努力を、今後も続けてもらいたい。

 国際調査団は、日本を含む各国の専門家と、WHOはじめ国際獣疫事務局、国連食糧農業機関といった国際機関の関係者らで構成された。

 今年1月中旬に武漢入りして関係先を視察し、中国側の専門家と協議した。

 報告書は、中国側と共同で作成したものである。

 安全管理が行き届いていたことなどを根拠として挙げ、研究所からの漏えいを否定している。

 これについて、中国外務省の報道官は「明確で重要な結論だ」と強調した。

 とはいえ、調査の経緯を見渡すと、報告書が中国の主導によってまとめられた、との疑念も捨て切れない。

 公表を受けて、日本や米国など14カ国は、今回の調査に関して、「懸念を表明する」との共同声明を出した。

 その中で、調査の実施が大幅に遅れ、完全にオリジナルなデータや、検体へのアクセスが欠如していた、と指摘している。そのうえで、専門家の主導する第2段階の調査が必要だ、と訴えた。

 共同声明に対して、激しさを増す米中対立を背景にした「起源調査の政治化だ」と批判する声が、中国側から上がっている。

 しかし、ウイルスの起源がよく分かっておらず、継続した調査が必要とされるのなら、独立した機関が、科学的な根拠に基づいて行うのが筋だろう。

 再度、調査団を受け入れるかどうか、中国は明言していないが、前向きに応じるべきである。