薬物に関する授業で生徒たちは福知山署員から話を聞き、教室でも学んだ(福知山市内の中学校)

薬物に関する授業で生徒たちは福知山署員から話を聞き、教室でも学んだ(福知山市内の中学校)

 京都府福知山市内の男子中学生が3月、大麻所持の疑いで逮捕された事件を受け、市内の小中学校では再発防止に向けた取り組みが進んでいる。主には薬物の危険性を教える内容だが、これまでも伝えてきただけに学校関係者は危機感を募らせる。府内では昨年に未成年の薬物事件が増加に転じており、背景にはインターネットやスマートフォンの普及もあるようだ。

 「大切なのは正しい知識と断る勇気」。同市の中学校で3月、教諭が生徒に呼び掛けた。薬物に関する緊急の授業が行われ、全校生徒が体育館で京都府警福知山署員から薬物を使用した人の症状などについて聞き、教室では大麻の脳への悪影響や何かあれば家族らに助けを求めることを学んだ。


 授業後、3年の女子生徒(15)は「大麻には興味がないし関係ないと思っているが、SNS(会員制交流サイト)で調べないようにしたりして、改めて気を付けたい」と話した。校長は「事件はショックで悲しい出来事だった。インターネットで簡単に(薬物に)手を伸ばせるようになっている。我々も新しいことを学び、より深く怖さについて知ってもらう必要がある」と話す。


 府警や市は、逮捕された生徒の学校名を明らかにしていない。市教育委員会によると、市立の小中学校では毎年、薬物乱用防止教室を開き、担任や外部の指導員らが薬物の危険性を教えてきた。市教委幹部は「これまでやってきたことが間違いだとは思わないが、身近にある物として丁寧に訴え続けていくことが必要」とする。


 府警によると、府内の違法薬物事件で逮捕・書類送検された未成年の人数は2016年の31人以降、減少傾向だったが、20年は前年比9人増の24人だった。毎年、8、9割が大麻の事件が占めており、20年は大麻が21人に上った。


 府警少年課は「今はみんなスマホを持っており、インターネット上には大麻はたばこより害が少ないといった誤った情報があふれていて、植え付けられている」と分析する。


 少年と薬物問題に詳しい文教大の石橋昭良教授(犯罪心理学)は「1990年代、2000年代は少年が違法薬物を手に入れるのは難しかったが、入手経路が変わり、今は子どもが盛り場を歩いて購入することも見受けられる」と指摘。「薬物を経験している先輩や仲間から誘われて手を出すことが多い。誘われても自分の意思で断ることができるスキルを教える教育が大事だ」と訴える。