今後10年間の過疎地支援策を盛り込んだ新たな「過疎法」が今国会で成立し、1日から施行された。

 新法は、過疎地支援の目的をこれまでの「自立促進」から、「持続的発展」へと掲げ直した。

 約半世紀前、「過疎地の解消」をうたって立法化されたが、現状は全市町村のほぼ半数が対象指定を受け、その実現はほど遠い。

 一方、新型コロナウイルスの感染拡大によって、都市部での人口密集のリスクが再認識される状況も生まれている。

 住民の減少や高齢化が進む困難さを抱えつつ、地方に向けられる新たな注目をいかに地域社会の維持、活性化につなげられるか、試されよう。

 過疎法は、高度成長期の1970年、10年間の期限付きで議員立法された。地方の若者らが都市部に大量流出し、農山漁村の活力が低下することへの危機感からだ。「条件不利地域を財政支援」して過疎地解消を目指したが進まず、期限延長を繰り返してきた。

 70年に全市町村の23%だった過疎自治体数の割合は次第に増え、現在は48%に上る。面積割合も27%から60%に広がり、国土の半分以上が過疎地とされている状況だ。

 新たな過疎法はこうした経緯やコロナ感染拡大を踏まえ、過疎地の活力向上を通じて、東京一極集中の是正と地方分散の受け皿となる「持続的発展」を掲げたといえる。

 支援自治体は人口減少率や財政力から指定され、京都府与謝野町の追加など3増の820市町村となった。コロナ禍による財政悪化を受けて指定要件を緩和し、京都市など対象から外れても支援を受けられる経過措置を延長したのは妥当だろう。

 支援の重点に挙げたのは、移住の促進や企業移転による雇用創出▽テレワークや遠隔医療・遠隔教育などデジタル化推進▽交通手段や買い物・子育て環境確保-などだ。事業予算の補助率かさ上げや過疎債の発行などで国が厚く手当てする。

 これもコロナ禍での暮らし、働き方の変化に対応する試みだ。過密リスクを避け、テレワークが広がる中、これまで人口が集まっていた東京都で昨夏から流出超過が続いている。

 週末に田舎暮らしを楽しむ「二地域居住」も注目され、地方の豊かな自然環境や、安らぎのあるライフスタイルへの関心が高まりつつある。

 ただ、都内からの移住先は近郊の首都圏内が多く、いまだ様子見のムードも根強い。地方の自治体は、安価な住宅提供などで移住促進に取り組んできたが、生活や通信などインフラ整備に加え、仕事や子育て環境のきめ細かな支援や特色を打ち出していく必要があるだろう。

 人手が限られる中、地域づくりに携わる人材の確保が課題となる。担い手として若者らが移り住んで活動する「地域おこし協力隊」が各地に広がり、定着しつつある。行政と住民、企業、大学などの幅広い連携、協力態勢が欠かせない。