現代映像アート、先駆者の伝言

 女性や身体、エコロジーなどをテーマにしたビデオインスタレーションで知られる現代アーティスト、ピピロッティ・リスト(1962年~)の回顧展「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island あなたの眼はわたしの島」が6日から、京都市左京区の京都国立近代美術館で開催される。日本での個展は13年ぶり。初期から近作まで約40点を展示し、表現世界の全体像をたどる。

「永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に」ビデオ・スチル 1997年

 スイス出身のリストは、1997年にベネチア・ビエンナーレで若手作家優秀賞を受賞した「永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に」で注目された。赤い靴を履いた水色のワンピース姿の女性が、花の形をしたハンマーで自動車の窓ガラスをたたき割る映像作品。男性社会に対する痛烈な批判とも捉えることができ、フェミニズムの立場からも評価が高い。

「ヒップライト(またはおしりの悟り)」2011年 古着、鋼線、LEDランプ/インスタレーション ハウザー&ワース、サマセットでの展示風景 Photo:Ken Adlard

 物干しのようにパンツをつるす展示「ヒップライト(またはおしりの悟り)」は、ヒップが持つさまざまな意味を考えるよう促す。一般から募集したプラスチックごみを展示する「イノセント・コレクション」は、現代社会の負の側面をアートに昇華させた作品だ。

「わたしの草地に分け入って」ビデオ・スチル 2000年
「マーシー・ガーデン・ルトゥー・ルトゥー/慈しみの庭へ帰る」ビデオ・スチル 2014年

 作品に親しんでもらう工夫も随所に盛られている。映像は壁面や天井につるされたパネルのほか、リビングルームのように家具が配置された空間にも投影される。靴を脱いで入場するため、座ったり横になったりして作品世界に入り込むことができる。

 牧口千夏主任研究員は「海外では大人から子供まで寛いでリストの作品を楽しんでいる。作家が込めたメッセージを読み取ってほしい」と話している。

 すべて(C)Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine



【会期】4月6日(火)~6月13日(日) 月曜休館(5月3日は開館) ※4月25日(日)から当面の間 臨時休館
【開館時間】午前9時半~午後5時 金・土曜は午後8時まで(入館は閉館30分前まで)
【会場】京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
【観覧料】一般1200(1000)円、大学生500(400)円、高校生以下と18歳未満、心身に障害のある方と付き添い1名は無料。かっこ内は前売り(発売は4月5日まで)と20人以上の団体および夜間割引(金・土曜の午後5時以降)。
【主催】京都国立近代美術館、京都新聞
【問い合わせ】同館075(761)4111

※展示室内では靴を脱いで鑑賞するため、靴下と靴袋が必要