龍谷大平安高の考古資料陳列室。別室に保管する資料を含め全体像を把握できなくなっている(京都市下京区)

龍谷大平安高の考古資料陳列室。別室に保管する資料を含め全体像を把握できなくなっている(京都市下京区)

 京都の博物館などが小中高校が保管する考古資料を調査し、展覧会への出品や目録の作成など活用を支援している。学校はかつて地域の発掘調査に関わり多くの出土品を保管しているが、未整理の資料があるためだ。「地域と博物館」を主要テーマにする9月の国際博物館会議(ICOM)京都大会でも、学校と博物館の連携について幅広い議論が期待される。

 昨夏、九州国立博物館(福岡県)が開いた「全国高校考古名品展」で、目を引いたのは龍谷大平安高が出品した土器類だった。1950~60年代ごろ、後に考古学をリードする坪井清足、田辺昭三の各氏らが同高の考古学クラブを指導し、大津市の石山貝塚や大阪・陶邑窯跡群などを部員と調査。出土品の一部を同高が保管している。

 同志社大の水ノ江和同教授(考古学)によると、「遺跡の発掘調査は自治体が担うと定めた64年の閣議了解までは、詳しい教員のいる学校がしばしば携わった」といい、龍谷大平安高は詳細な報告書を作成。卒業後に自治体の発掘担当者になった部員もいる。現在の考古学クラブ顧問・本吉恵理子教諭は「校内に陳列室があり、別室にも相当数を保管しているが、全容は不明」とし、日本史の授業でも活用は困難という。

 考古名品展について九博の今井涼子主任研究員は「龍谷大平安高の悩みは、全国共通。九博は国と福岡県の連携運営で、『地域との共生』を掲げており、全国の学校が所有する資料を再確認し、積極的に活用する契機にしたい」と語る。

 自治体の公立博物館の働きかけも始まっている。京都文化博物館では、村野正景学芸員が2013年から、府内の小中高校に対し、保管品のアンケートを実施。現在も継続中で、活用の一環として3月9日から「府内の学校所蔵 考古・歴史資料展」を同館で開く。北白川小や網野高が出品する。

 昨年には、村野学芸員がメキシコのICOM専門委員会で学校と地域文化の関わり方について報告。学校統廃合による散逸など緊急の課題を指摘した。文化庁で文化財保護行政に携わった水ノ江教授は「学校に残る資料が地域の歴史と文化を考える材料となるよう、保管資料全体を把握する必要がある。文化庁は調査指針や財政補助を検討すべきだ」と話している。