ネガティブ用語をポジティブに変換するネガポ辞典なる本がある。「計画性がない」は「土壇場に強い」、「三日坊主」は「切り替えが早い」…。視点のずらし方次第で前向きな言葉に置き換わる。物は言いようである▼さて、この人はかなりの前向きな思考の持ち主と見た。異国の真冬の拘置所での108日に及ぶ勾留中も平素の態度を失わなかったという。きのう保釈された日産自動車前会長のゴーン被告である▼起訴内容や社内調査が事実なら会社「私物化」のそしりは免れない。だが「日産イコール自分」とポジティブに捉え、全否定するに違いない。無罪を主張し、検察側と全面対決する構えを見せている▼近世日本の人物研究で知られた歴史学者の森銑三は「非常の際に臨んで、その人の真実が顕(あらわ)れる」といった。真実はどこにあるのか、有罪なのか、人質司法の問題は。世界が注目する被告の言動に目が離せない▼大阪では都構想を巡りダブル選が現実味を帯びてきた。知事と市長が辞職し、ポストを入れ替えて出馬するという▼自分たちが悲願とする政策を実現するために「民意を問う」と前向きだが、住民や議会関係者はそう受け止めるだろうか。物は言いようである。非常の際こそ、その人の真実を見極める目がわれわれにも求められそうだ。