立岩陽一郎さん

立岩陽一郎さん

「ファクトチェック ニッポン」(左)と「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」

「ファクトチェック ニッポン」(左)と「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」

 元NHK記者で関西を拠点に調査報道に取り組むジャーナリストの立岩陽一郎さん(53)が「ファクトチェック ニッポン」と「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」を相次いで出版した。

 根拠不明な「フェイクニュース」がSNSなどを通じて想像以上の影響力を持ついま、影響力のある人やメディアの発信の真偽を事実や公開情報に基づいて判定する「ファクトチェック」の重要性が注目を集めている。

 立岩さんはNHKでイランのテヘラン特派員や社会部記者、国際放送ディレクターなどを経て2016年に独立。認定NPO法人のネットメディア「in Fact」の編集長も務める。

 「ファクトチェック・ニッポン」はメディアや新型コロナウイルス、アメリカ大統領選、沖縄などのテーマごとに、俗説に対する事実提示と立岩さんの見解を提示している。

 「コロナの時代を…」は新型コロナウイルスをテーマに、立岩さんのファクトチェックの取り組みを追体験できる内容。

 例えば、「新型コロナウイルスは中国・武漢で人為的に製造されたものだと京都大の教授が述べている」という、主に海外で流布された情報について、当該教授の公開情報をもとに京都大などにも問い合わせて「偽情報」と判断。海外のジャーナリスト仲間を通じてメディアでも報じられるに至る過程を読者が共有できる。

 ファクトチェックのルールの解説も収録。情報源やチェック方法の透明性の確保、チェックを間違えたときは誠実に訂正するなど、ジャーナリズムにも共通する心構えだ。

 立岩さんは「ファクトチェックは誰かの発言を批判することではない。ウイルスのように偽情報が拡大する『インフォデミック』を防ぐためにも、情報をうのみにせず、立ち止まって事実関係を調べる習慣を一人一人が身につける必要があると思う」と話している。

 「ファクトチェック ニッポン」は徳間書店、1760円。「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」は講談社、1430円。