瞬間と美の緊張

 近代京都の洋画界に力強い足跡を残し、今年が生誕130年、没後60年にあたる須田国太郎(1891~1961年)の画業を紹介する。生涯を通じて探究した色彩や絵肌、動きの表現を、油彩画約20点、デッサン約70点で見せる。

「犬」 1950年 東京国立近代美術館蔵

 後進育成を望んだ須田の遺志を継いで、2019年に設立されたきょうと視覚文化振興財団(理事長・原田平作大阪大名誉教授)が企画した。同財団は展覧会などを通じ、美術や活字など視覚文化の研究に取り組む。最初の展覧会として20年春に本展を予定していたが、コロナ禍で延期した。

「法観寺塔婆」 1932年 東京国立近代美術館蔵
「山姥」 1948年 京都国立近代美術館蔵

 「犬」「法観寺塔婆」などの代表作に加え、須田の能・狂言への造詣の深さを見せる。「山姥(やまんば)」など油彩画も目を引くが、6000点超が残るデッサンコレクションからの展示が見どころだ。須田は絵画研究のため能楽堂に通い、脇正面最前列に陣取って役者の姿を描き続けた。走り描きのようなタッチは須田が「動中の静」と感じた能独特の厳粛さと呼吸、瞬間的な動きをとらえたものだ。

「江口」より 1952年上演 シテ金剛巌
「隅田川」より 1950年上演 シテ金剛巌
「通小町」より 1955年上演 シテ金剛巌

 従来は数点ずつの出展だったが、今回は「江口」「隅田川」「通小町」を1曲全て展示する。能装束も借り、1室を能・狂言関連の展示で埋める。

「アーヴィラ」 1920年 京都国立近代美術館蔵
「窪八幡」 1955年 東京国立近代美術館蔵
「夜桜」 1941年 京都国立近代美術館蔵

 美学を研究した後、41歳で洋画家としてデビューした須田は、理論と実践の両面から絵画の本質を究めようとした。油彩もデッサンも、一筆一筆から謹直な姿勢が伝わってくる。



【会期】4月7日(水)~5月16日(日) ※4月27日(火)〜5月11日(火)まで臨時休館
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館15分前まで)。月曜休館
【会場】中信美術館(京都市上京区下立売通油小路東入ル)
【入館料】無料
【主催】中信美術奨励基金、きょうと視覚文化振興財団、京都新聞