片耳難聴者が聞き取りに困る例

片耳難聴者が聞き取りに困る例

片耳難聴を抱える京都光華女子大の高井准教授。「聞こえない左耳の方から話しかけられても気づかない時がある」と話す(京都市右京区・同大学)

片耳難聴を抱える京都光華女子大の高井准教授。「聞こえない左耳の方から話しかけられても気づかない時がある」と話す(京都市右京区・同大学)

 「片耳難聴について、多くの方に広く知ってもらいたい」。京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に、近年発足した当事者団体からメッセージが届いた。

 片方の耳が聞こえづらい、もしくは全く聞こえない片耳難聴者。国内では30万人以上がいると推定されている。日常生活に大きな支障はないが、声のする方向がわかりにくいなどの不便がある。中には、声をかけられているのに気づかずに「無視をした」と誤解されるケースも。外見ではわからないため、周囲からは理解されにくい。自身も片耳難聴者である、京都光華女子大医療福祉学科(京都市右京区)で、聴覚障害を研究する高井小織准教授(60)は「日常のコミュニケーションで悩みを抱えている人が多い」と話す。

 片耳難聴は日常生活で悩みや不便を感じることもあるが、周囲の工夫によって解決できる場合もある。近年は専門家や当事者らによる市民団体「きこいろ」が発足し、正確な情報やサポートが広がりつつある。

 「騒々しい中で話を聞き取るのは苦手ですね」。そう話すのは、高井准教授。5歳の就学前診断で、左耳が全く聞こえないと診断された。

 片耳難聴は一側性難聴とも呼ばれる。原因は不明なことも多い。先天的な理由やおたふくかぜの合併症、大人になってからの突発性のものなどさまざま。治療も難しいことがほとんどだ。

 国による、片耳難聴者数の統計はない。きこいろでは、新生児聴覚スクリーニングで約千人に1人の割合で発見され、後天的な原因も含めると国内で30万人以上がいると推計している。

 片耳難聴者は日常生活に大きな支障はないことが多い。聞き取れる音の大きさは、両耳が聞こえる人と片耳しか聞こえない人との間で、差がほとんどないためだ。障害者手帳の交付対象にはなっていない。しかし、個人差もあるが、聞こえない耳の側から話しかけられると気づかない▽音や声が出ている方向がわかりづらい―などの不便がある。

 高井准教授も小中学生時、話しかけられた友達に気づかずに「無視をした」と誤解された経験がある。今でも宴会で会話を聞き取るのは苦手だ。また、緊張するのは運転中に助手席に人がいる場面。耳が聞こえない左側で会話をされるためだ。大学の初回講義では学生に左耳が聞こえないことを伝える。その上で、学生には正面で話したり、手を振って発言したりするよう求めている。

 近年では、2018年のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」に片耳難聴のヒロインが登場したり、当事者であることを公表する芸能人も現れたりしたことで、認知度は高まりつつある。しかし、高井准教授は「『片耳が聞こえているから大丈夫』と勘違いされることも多い。正しい知識が広まっているとは言えない」と話す。