妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断について、厚生労働省の専門委員会は、行政や医療機関が「妊婦およびそのパートナーへ誘導とならない形で、情報提供を行っていくことが適当」とした報告書案を大筋でまとめた。

 正確な情報を提供することによって、十分な体制が整っていない無認定施設に妊婦が流れないようにするのが目的だ。

 従来の「医師が妊婦に検査の情報を積極的に知らせる必要はない」との方針が、約20年ぶりに転換されることになる。

 国は、これまで関連学会の自主的な制度運営に任せていたが、診断実施施設の質と信頼性向上に関わる姿勢は一定評価できる。

 だが、「命の選別」につながりかねない検査である。国が関与することで、検査が推奨されていると受け止められないよう、慎重な配慮が必要だ。

 報告書案では、関係学会や障害者福祉の関係者、患者当事者団体などに加えて国も参画し、新出生前検査の実施施設や分析機関の認証制度を新設する方針も示された。今夏にも、制度の運営委員会を設置し、診断に関する情報提供もホームページなどで行う。

 方針転換の背景には、出生前診断を巡る状況の変化がある。2013年、新出生前診断が開始され、日本産科婦人科学会の指針に基づき、日本医学会が実施施設を認定してきた。だが16年ごろから、無認定施設が急増した。

 妊婦に対し、診断の目的や意味、結果の解釈などを十分に説明していない施設もある。インターネット上には、信頼性のない記述を含めさまざまな情報があふれ、混乱する妊婦も少なくない。

 こうした問題を検討するために設置された専門委では、法規制を設けるべきだとの意見も出たが、時間がかかるため実施施設の認証制度の創設を目指し、情報提供の在り方にも重点を置いたという。

 重要なのは、正しい情報を伝え、妊婦とそのパートナーが不安や疑問、悩みを解消できるような仕組みを整えることだ。

 日本ダウン症協会は、情報提供の内容や方法次第で「ダウン症が検査をして産むか産まないかを選択する必要がある障害だとの間違った理解を広めかねない」として丁寧な対応を求めている。

 医療機関だけでなく国や自治体、民間団体などが連携し、カウンセリングや相談体制を整備、拡充することが求められる。