臨床検査機器メーカー「アークレイ」(京都市上京区)の元社員の男が昨年春ごろ、京都大医学部付属病院(左京区)を含む複数の医療機関から同社に提供された社外秘の患者の遺伝子検査データなどを不正に持ち出していた疑いのあることが7日、捜査関係者などへの取材で分かった。アークレイは京都新聞の取材に事実関係を認め、「元社員がデータを持ち出したのは事実。患者や医療機関におわび申し上げる」と話した。府警は同日、元社員を不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で書類送検した。

 捜査関係者などによると、元社員は昨年春から初夏にかけて、同社のサーバーで管理されていた約2万件の情報を不正にUSBメモリーに複製するなどして、社外に持ち出した疑いがあるという。この情報の中に、京大病院を含む複数の医療機関から同社に提供された患者の遺伝子に関する検査データなどが含まれていたという。

 捜査関係者らの説明では、元社員は、同社が開発した遺伝子解析装置の製品研究や販売促進などの業務に携わってきた。当時はアークレイと競合する企業への転職が決まっており、持ち出した情報を転職後に利用しようとした可能性があるという。

 アークレイから刑事告訴を受けた府警は、不正に持ち出された2万件の情報のうち、顧客データなど十数件について同社の営業秘密に当たると判断し、今月7日に不正競争防止法違反容疑で書類送検した。

 京大病院総務課は「(アークレイから)当院に関するデータが流出したとの連絡は受けている。事実関係を調査中で、詳細は話せない」としている。

 アークレイのホームページによると、同社は遺伝子検査装置など医療機器の開発、販売などを行う。従業員数は約2600人(グループ全体)。