新型コロナウイルス対策で初の「まん延防止等重点措置」が始まった大阪、兵庫両府県を中心に感染者の急増が続いている。その主な要因は、変異株の拡大との見方が強まっている。

 変異株が近隣府県や全国に広がれば、第3波を超える感染拡大や経済損失を招く恐れがある。民間機関とも協力して検査を拡充し、監視体制を強化せねばならない。

 変異株は、昨年末に日本で初めて確認報告があった。最も多く検出されている英国株は、従来型より感染力が最大7割、南アフリカ株は5割強いとの試算がある。若年層でも感染拡大や重症化につながりやすいとの指摘もある。

 厚生労働省によると、変異株は4月6日時点で43都道府県の2039人に感染が確認されている。大阪、兵庫は他の地域より突出して多く、対応に苦慮している。

 感染状況は新たな局面に入ったと言える。政府は、変異株への対処方法や感染力に関する知見などを国民や各自治体、医療機関に速やかに提供してほしい。

 医療体制の逼迫(ひっぱく)も心配だ。

 大阪の新規感染者はきのう過去最多の878人となり、重症用病床の使用率は70・5%に達した。府は独自の医療非常事態宣言を出した。

 大阪府と兵庫県は、臨時の重症用病棟の設置や、医療機関への要請で病床の上積みを図っているが、想定を上回るペースで患者が増え、綱渡りの対応が続いているという。

 こうした状況を受け、政府は「原則入院」としている変異株の患者について、無症状者や軽症者については宿泊施設や自宅での療養を認める通知を出した。

 だが、感染力が強いとされる変異株への感染の対応としては不十分だとの意見もある。

 人の流れを抑制する方策が必要ではないか。府は大阪市内に要請してきた不要不急の外出自粛を全府域に拡大するというが、府民の胸に届く明確なメッセージを出す必要がある。保健所や医師会と連携し、丁寧な健康観察と容体急変者に対応する体制をしっかりと整えることも不可欠だ。

 首都圏などの子どもが通う施設や飲食店では、変異株のクラスターも発生している。

 政府は、変異株を調べる検査割合を陽性者の5~10%から約40%に引き上げる方針を示している。繁華街などでのモニタリング検査も強化し、感染源の早期特定で感染拡大防止につなげてほしい。