学校法人「森友学園」の前理事長籠池泰典被告と妻諄子被告の刑事裁判が始まった。

 両被告は、国と大阪府、大阪市から補助金約1億7700万円をだまし取った詐欺と詐欺未遂の罪に問われている。

 設計・建設業者と共謀し、大阪府豊中市の国有地で計画した小学校の建設費を水増ししたり、幼稚園の教員数を偽ったなどとされる。

 両被告とも無罪を主張し、争う姿勢を見せた。

 起訴内容は「森友疑惑」のごく一部に触れているにすぎないが、そこから全体像をうかがい知ることはできる。森友疑惑の真相に迫る契機になることを期待したい。

 被告側は、国への補助金申請は業者の主導で行われ、被告の関与や共謀はないと主張している。

 たしかに起訴状には設計業者などとの共謀が記されているが、業者は1人も罪に問われていない。不自然だ。

 弁護団は、検察は不起訴を条件に業者の関係者から証言を得た、と指摘している。事実上の司法取引ではないか。問題はないのだろうか。

 その意味で、弁護団が業者の証言を証拠採用しないよう裁判所に求めたのは、理解できる。

 設計業者らは今後、証人尋問に出廷する予定だ。籠池夫妻や検察とどのようなやりとりがあったのか、明らかにする必要がある。

 森友疑惑の核心は「小学校予定地のために国有地がなぜ8億円も値引きされたのか」だが、疑惑は解明されるどころか、不透明さを増している。

 国は値引きの理由の一つとして地中のごみを挙げている。だが、その根拠として複数の穴を撮影したとする写真が、実は同じ穴のものだったことが最近、判明するなど、国の説明は信頼性に疑問符が付く事態になっている。

 安倍晋三首相に近いとされた籠池被告の事業のために行政がゆがめられたのではないか、という疑問は消えるどころか、濃厚になっている。

 安倍政権や与党は真相究明には後ろ向きのまま、幕引きを図ろうとする姿勢が顕著だが、国会は引き続き、問題の解明に取り組むべきだ。

 森友問題では、虚偽公文書作成容疑などで財務省の佐川宣寿・元理財局長ら38人が告発されたものの、大阪地検は不起訴にした。現在、不服申し立てを受けた検察審査会が審査している。検審の結論によっては、事態が変化する可能性もあろう。注目が必要だ。