買い物などの支払いに、現金ではなく、スマートフォンを使う決済がにわかに注目されている。

 10月の消費増税に備えた景気対策として、中小の店でキャッシュレスで支払えば5%のポイントを還元すると、政府が打ち出したことがきっかけだ。

 クレジットカードや電子マネーによる決済では、店側に専用端末機の設置費用がかかるが、スマホ決済ではQRコードを印刷して置くだけでもOKなので、店側の負担が軽い。

 さらに、スマホ決済が進む中国などからの観光客のニーズがある。すでに京都などの観光地や都市部で、スマホ決済を導入する店が増えているという。

 ただ、高齢者などスマホを使い慣れない消費者を置き去りにしては、大きな広がりにはなるまい。使いやすい仕組みが欠かせない。

 昨年12月にはソフトバンクで大規模通信障害が発生し、スマホ決済に支障が出た。北海道地震でも多くの店で電子決済ができなくなった。

 通信インフラの安全性を盤石にしておくことが、キャッシュレス社会を成立させる大前提だ。

 スマホ決済には、まずQRコード決済を手がける会社のアプリをスマホにダウンロードし、この時に銀行口座やクレジットカードの番号を入力する。あとは店側から示されたQRコードをスマホのカメラで読み取って、支払額を入力して終了。

 簡単なだけに、使い過ぎないよう自分で工夫する必要があろう。

 決済側の利点も大きい。購買データを大量蓄積して消費者の動向を分析することで、売れ筋商品の陳列や商品開発に生かせる。IT関連企業のほか銀行が参入し、今やスマホ決済は乱立気味という。

 キャッシュレス化は、人手不足や人口減少に対応して、レジ業務や現金輸送の負担軽減などコストカットにつながるとも期待されている。

 海外ではキャッシュレス決済の普及率が、韓国で89・1%、中国60%、欧米30~50%に達する。日本では現金払いが主流で、2015年時点で18・4%にとどまる。政府は25年までに40%に高める目標を掲げ、導入しやすいスマホ決済を後押ししているかっこうだ。

 しかし、昨年末にはQRコードを使ったクレジットカードの不正使用が相次いだ。ウイルスやハッキングへの不安は拭えない。政府はキャッシュレス化に前のめりになる前に、セキュリティー対策を急ぐべきではないか。