電線を地中に埋め、電柱をなくす無電柱化へ、国土交通省が今後5年間の推進計画案を公表した。

 災害時、救助や物資輸送の要となる緊急輸送道路を重点に全国約4千キロで無電柱化を急ぐ方針だ。災害に強い「脱電柱社会」に向け、取り組みを強化してほしい。

 戦後の高度成長期に急増する電気需要に対応するため、低コストで短期間に整備できる電柱が多用された。道路脇の電柱から電線がクモの巣状に張り巡らされて景観を損なう上、車や歩行者の通行に支障を来すことが少なくない。

 国土交通省によると、電柱は全国に約3600万本ある。無電柱化が進まない一方、住宅街の造成などで毎年新たに約7万本の電柱が立てられている。ロンドンやパリ、香港など多くの主要都市が無電柱化を終えたのに比べ、日本は「周回遅れ」と言えよう。

 無電柱化推進法が2016年に施行され、国は「無電柱化推進計画」で東京五輪開催を見据え、20年度までに約2400キロの無電柱化を目指した。しかし、多額の費用や長期の工事がネックとなり、事業着手が遅れている。

 新たな推進計画案では、25年度までに無電柱化を加速させる。市街地の緊急輸送道路は着手率を現行38%から52%へ、高齢者らの通行が多い駅周辺など「特定道路」は31%から38%へ引き上げる。

 近年、地震や台風などで電柱が倒れ、広範囲で停電を引き起こすだけでなく、道路を寸断する被害が相次ぐ。電柱が避難や救助を妨げ、命を脅かす「凶器」になるとすれば対策は急務であろう。

 京滋も無電柱化はこれからだ。景観保全が必要な地区が多い京都市は、先斗町通や三条通などで進めてきたが、財政面のハードルは高い。滋賀県内は彦根城周辺など実施例が少なく、緊急輸送道路を優先的に取り組むという。

 なぜ、進まないのか。費用は国や自治体、事業者で負担するが、従来方式の電線共同溝は1キロ当たり5・3億円と高額で、設計から完了まで工期も長い。計画案には工費の2割削減、工期も大幅に圧縮する目標を盛り込む。京都市は電線など直接埋める新工法でコスト削減を模索してきたが、無電柱化が進む欧米でもこの工法が採用されており、実用化に期待したい。

 電柱を増やさない規制も欠かせない。計画案では原則、新設を禁止とする措置を徹底し、併せてなぜ増加するのか要因を分析、21年度中に対応策を策定するという。その実効性が問われよう。