京都市は、子ども・若者総合計画で「子育て・『共育』環境日本一」を掲げる中、行財政改革による育児世帯への影響にも注目が集まる

京都市は、子ども・若者総合計画で「子育て・『共育』環境日本一」を掲げる中、行財政改革による育児世帯への影響にも注目が集まる

京都市保育園保護者会連合協議会会長の田中智子・佛教大教授

京都市保育園保護者会連合協議会会長の田中智子・佛教大教授


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 ただ、京都市の深刻な財政難が、保育料の行方にも影を落とす。財政状況がこのまま推移すると、2028年度にも企業の破産に例えられる「財政再生団体」に転落する恐れがあり、そうなった場合、最低限の行政サービスしか行えなくなるという。市が発行する「市民しんぶん」(2月1日号)では、影響の一例として「保育料4割値上げ」などと記され、波紋を広げた。

 こうした最悪の事態を避けるため、市幼保総合支援室でも本年度から、受益と負担のバランスを踏まえた見直しを本格化させるとし、「保育料も聖域ではなく総点検する。保育料が変わるなら影響が大きいため、できるだけ早く示したい」と説明する。

 一方、市保育園保護者会連合協議会(市保連)会長の田中智子・佛教大教授(障害者・家族福祉論)は「保育料は介護保険料などと比べても利用者負担の割合が大きい」と指摘。「さらに値上げすれば子育て世帯の流出につながり、少子化も止まらない。子どもが平等に育つ権利を保障するため、広く公費で保育料を支えるべきだ」と訴える。

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 実際の園生活では、保護者はさらに幅広い負担を求められる。おむつ、布団、給食、教材、制服―。こうした「隠れ保育料」は、施設ごとの金額差も大きい。市保連が16年に市内の保育園などを調査したところ、55施設から回答があり、6年間の在園で約5万~約50万円と10倍もの開きがあった。

 専門家による有料の英会話や体操教室などを希望者対象に行う園もあり、田中さんは「親の経済力が保育の質の格差拡大につながらないか心配。そもそも他園の状況や事前に実費負担額を把握している保護者は少なく、不明な点は保護者会を通じて園と話し合ってほしい」と語る。

 保育園などの利用者負担金については、国が昨年運用を始めた検索サイト「ここdeサーチ」で情報を公開しており、積極的に活用してほしいという。

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 京都市内は育児がしやすいのだろうか。子育て世帯は、どんな悩みや苦労があるのだろうか―。4月にスタートした企画「#キョウコソダテ」では、育児の当事者でもある記者たちが、子どもを取り巻く地域の多様な実情を探ります。京都新聞の紙面では隔週日曜、市民版に掲載します。

 ツイッターでも、取材班が育児・教育関連のニュースや日々の暮らしなどをつぶやいています。ユーザー名は「@kyokosodate」。記事へのご意見、ご感想はメール(kyokosodate@mb.kyoto-np.co.jp)でお寄せください。

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 わが家では4歳の長男が幼保無償化の対象だ。一方、来春から保育園に通う予定の長女(生後6カ月)の保育料はどうなるのか。京都市の行財政改革の行方に気をもんでいる。
 保育料は世帯所得が絡むため、周囲ともざっくばらんに話しづらく、余計にやきもきするのだと思う。
 市は「子育て環境日本一」を掲げる。手厚い保育士の配置や給与面などを挙げるが、これらに関わる助成も見直しの対象だ。園職員の働く環境、保育の質への影響も注視したい。

 京都市内の出生数 京都市の2019年の出生数は9495人で、2年連続で1万人を割った。同市の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子どもの数)は1・22(19年)と3年連続で低下。厚生労働省が昨年7月に公表した全国市区町村別出生率(13~17年)ではワースト10に下京、東山、上京の3区が入るなど少子化が深刻化している。市によると、市内には保育園が365、認定こども園が58、幼稚園が102あり、他に認可外保育施設が100以上ある。