国内各所でスタートした高齢者対象のワクチン接種(京都市内)

国内各所でスタートした高齢者対象のワクチン接種(京都市内)

新型コロナウイルスのワクチン接種に必要な予診票のひな型。「副反応などについて理解した上で」接種の同意を求める

新型コロナウイルスのワクチン接種に必要な予診票のひな型。「副反応などについて理解した上で」接種の同意を求める

 高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が国内各所でスタートした。京都府内では特別養護老人ホームなど高齢者施設の入所者らが対象となっている。国は、認知症のある入所者に対しても接種の本人同意を求めているが、同意確認が「あいまい」なまま接種して副反応が出た場合には施設が責任を問われかねない。京都府内の施設関係者は、同意の有無の確認となる判断基準の提示や、家族の同意で接種を認めることを国に求めている。

 厚生労働省はワクチン接種の意思確認について、施設が家族や施設嘱託医の協力を得ながら本人に接種の意思を確認し、自筆か意思確認した人の代筆で予診票の同意欄に署名が必要―との見解を都道府県に示した。

 ただ、本人が意思表示できない場合にどうすれば同意の有無を確認したと見なせるのか。国が本人への意思確認に代わる基準を示していないため、現場は混乱している。

 これまで認知症のある入所者へのインフルエンザワクチン接種については、原則は新型コロナと同じく本人の同意が必要だが、意思確認が困難な場合もあり、施設の多くが家族に判断を求めて本人の意思とみなしてきた。国も事実上黙認して慣例となっている。ところが今回の新型コロナで改めて国が見解を出したことで、本人の同意をどう確認するかが問われる事態となった。

 長年の接種実績があるインフルエンザワクチンと異なり、新型コロナワクチンは副反応の出やすさや深刻さが分からない点がある。リスクの不透明さから施設側が対応に苦慮している。府内の特別養護老人ホーム施設長は「死亡など万が一のリスクを誰が取るのかが明確ではなく、施設が責任をとらされることが怖い」と明かす。

 本人への意思確認に瑕疵(かし)がなかったかなど、同意の手続きに疑問を呈され、施設内の事故を対象とした保険の支払いの対象外となる恐れもあるという。府内の高齢者施設が保険会社に問い合わせたところ、現状のまま家族の判断で接種を行って副反応があった場合、保険金の支払いは「難しいかもしれない」と回答を受けたという。

 重症化リスクの高い高齢者が入所する施設でもクラスター(感染者集団)発生が相次いでいる。事態は切迫しており、施設だけでなく自治体も国に対し、意思確認が難しい場合に、代わりに「同意」の有無を判断する具体的な方法や基準を示すよう求めている。