京都大医学部付属病院を含む複数の医療機関から臨床検査機器メーカー「アークレイ」(京都市上京区)に提供されていた社外秘の遺伝子検査データなどが不正に持ち出された事件で、元社員の男(不正競争防止法違反容疑で書類送検)が社外に持ち出した患者のデータは6医療機関の885人分に上ることが8日、アークレイへの取材で分かった。患者名など個人の特定につながる恐れのある情報が含まれるデータもあったという。

 アークレイの松田猛社長は同日、中京区で記者会見し、「情報管理の不行き届きに違いなく、深くおわび申し上げる」と謝罪した。

 アークレイによると、遺伝子検査データはがん治療の効果などを調べるためのものだった。個人の特定につながる情報を伏せた上で提供を受ける取り決めになっていたが、持ち出されたデータの中には患者名と検査結果がひも付けられたものもあったという。提供元の医療機関名は明らかにしていない。

 アークレイなどの説明では、30代の元社員が昨年5~6月ごろ、同社のサーバーで管理されていた約2万件の情報を貸与パソコンでダウンロードし、不正にUSBメモリーに複製するなどして社外に持ち出し、私有パソコンに保存した。元社員は、遺伝子解析装置の製品研究や販売促進などを担当。7月下旬での退職を申し出たため、同社が、貸与パソコンを調べたところ、データの不正持ち出しが発覚した。

 アークレイは7月末に元社員を懲戒解雇した。当時は同社と競合する企業への転職が決まっており、会社側の聴き取りに「今後の勉強や参考にするために持ち出した。大変申し訳ない」と話したという。

 アークレイから刑事告訴を受けた京都府警上京署は、不正に持ち出された約2万件の情報のうち、顧客データなど17件について営業秘密に当たると判断し、今月7日に不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で元社員を書類送検した。

 アークレイは8日、患者向けの専用相談窓口(0120)103400を設置した。