深刻化する環境汚染への歯止めになり得るだろうか。

 大量のプラスチックごみによる海洋汚染が世界的な問題となる中、政府はプラごみのリサイクル強化や排出削減を進める新法案を閣議決定した。今国会で成立させ、来年4月の施行を目指している。

 昨年7月のプラ製レジ袋の有料化に続き、使い捨てスプーンなどの使用削減や再資源化といった取り組み促進を盛り込んでいる。

 ただ、海洋汚染で鳥や魚、人間の健康にまで影響が懸念される中、世界各国は使い捨てのプラ製品全廃など「脱プラスチック」へと動いている。

 新たな日本の対策も周回遅れの感が否めない。

 新法案「プラスチック資源循環促進法案」の柱は、プラスチック資源を一括回収する仕組みの導入だ。現在多くの自治体は包装材を分別回収しているが、文房具、玩具なども含めた回収でリサイクルを促すという。

 使い捨てのストローやスプーンを多く提供する飲食店などには、提供方法の見直しによる削減策づくりを義務付ける。有料化や代替素材への切り替えなどを想定している。

 怠った業者への罰則も設けるが、客にストローを使うかどうかを確認するだけでも「削減の取り組み」と認める方向というのは緩すぎないか。ごみ減量への実効性を環境保護団体などが疑問視するのも当然だ。

 これでは海洋汚染の進行にとても追いつけまい。世界では年間800万トンものプラごみが海に流出し、2050年には魚の重量を超えると推計されている。日本の1人当たりプラごみ発生量は米国に次いで世界で2番目に多いとされ、重い責任が問われている。

 深刻なのが、波や紫外線で5ミリ以下に砕けた微小なマイクロプラスチックによる汚染だ。有害な化学物質を吸着する性質があり、飲み込んだ鳥や魚に蓄積される。

 英ハル大などの調査で世界各地の魚介類から見つかった。食事を通じ1人平均で年間5万個超、魚介好きの日本人は最大13万個の微小プラを摂取している恐れがあるという。健康への影響は未解明だが、「安全という証拠もない」と警告している。

 国内調査でも近海の漁場や各河川、琵琶湖などで微小プラ汚染が確認されている。私たちが使い捨てにしたプラごみが、日常的に人体に取り込まれている現実から目をそらしてはなるまい。

 世界では、欧州連合(EU)が今年から、使い捨て食器を禁止し、プラ自体に課税する「プラスチック税」を導入。ケニアも、自然保護区や海岸などで全ての使い捨てプラ製品使用を禁止している。

 排出を減らすには、生産、使用の総量削減への切り込みが不可欠ということだ。

 昨年来、新型コロナウイルス感染拡大への対策で、持ち帰りや宅配関連のプラごみが増えるという難題も生じている。

 「密」を避ける新たな生活様式と併せ、これまでの使い捨て型の暮らしを抜本的に見直すことが求められよう。