鴨下孝子さん(遺族提供)

鴨下孝子さん(遺族提供)

 それでも、「行ってくるね」と言って京都に出掛けた時の孝子さんの笑顔が忘れられない。醍醐寺の桜を見てから祇園を訪れ、昼食を食べようと歩いていた妹を、暴走した車が襲った。「あと1歩、あと1メートル、違う場所にいたら…。その悔しさは消えないですよ」

 義康さんは月命日の墓参を欠かさず、6、12月にも菩提(ぼだい)寺の住職に読経してもらう。供養することで気持ちが落ち着くといい、心の中で「みんな元気にしているから、見守ってくれよ」と妹に語り掛けている。

 祇園暴走事故  2012年4月12日、京都市東山区の祇園で藍染め製品販売会社の元従業員=当時(30)=の軽ワゴン車が赤信号で交差点に突っ込み、7人が死亡、12人が重軽傷を負った。元従業員も事故で死亡。京都府警はてんかん発作が原因として、自動車運転過失致死傷容疑(当時)で元従業員を書類送検した(容疑者死亡で不起訴)。

■地域住民ら犠牲者の鎮魂を祈る

 事故現場近くにある京都市左京区の檀王法林寺では12日、毎年続けている追悼法要が営まれ、地域住民ら約30人が犠牲者の鎮魂を祈った。
 犠牲者を弔うために立てられた地蔵の前で住職が読経する中、東山区交通安全対策協議会のメンバーや地域の子どもたちが焼香した。同会の北川高範会長(72)は「徐々に事故が風化していると感じる。10年の節目に向けて広報活動に力を入れ、このような事故が起こらないようにしたい」と話した。