大阪府内をきょうから回る予定だった東京五輪の聖火リレーは、公道での走行が中止される。

 新型コロナウイルス感染が各地で再拡大し、まん延防止の重点措置が取られているさなかである。中止の判断はやむを得ない。

 五輪組織委員会は「安全を最優先する」としているが、感染が広がる中での実施には、自治体の首長などから懸念が相次いでいる。

 不要不急の外出を控えるよう求められているのに、見物客が集まりやすいイベントを行うのは矛盾している-との批判も根強い。

 既定方針通りにリレーを続けることで、コロナへの対応がおろそかになっては本末転倒だ。

 改めて、感染防止策の徹底を図るべきだ。場合によっては、聖火リレーの在り方を抜本的に見直すことも必要ではないか。

 心配された「密」状態は各地で問題化している。愛知県では名古屋市の繁華街に観客が詰めかけ、身動きできないほど混雑した。ランナーのタレント目当てに観客が沿道に押し寄せた地域もある。

 組織委は、過密状態が持続した場合には走行を取りやめると説明しているが、沿道の人の流れはランナーの移動とともに変化するため、中断の判断は難しいという。

 沿道での観覧自粛も呼び掛けていない。背景に、多額の運営資金を拠出するスポンサーへの配慮があるとも指摘される。密になる可能性とは背中合わせの状態だ。

 ランナーが走る自治体は感染対策とリレー実施を並行して行わなければならず、負担は大きい。

 愛媛県知事は松山市内の公道での実施を取りやめる方向で検討するとした。沖縄県知事はリレーの規模縮小を表明している。

 京都府では来月25、26日に行われるが、京都市内での実施について門川大作市長は、感染状況を含めて判断するとしている。住民の健康を第一に考えてほしい。

 聖火リレーには市民ランナーや観客から好意的な感想が寄せられている。だが、感染拡大のリスクがある中で平常時のプランを基軸にしたリレーの継続が妥当なのかどうか、議論が要るだろう。

 コロナ流行の現状を考えれば、東京五輪を予定通りに開催できる見通しはますます厳しくなっている。開催の可否について、責任ある判断を早期に示す必要がある。

 五輪を開催する以上、聖火リレーの内容も変えられない-といった硬直的な発想ではいけない。リレーを続けるなら、現状に適した方法を検討し直すべきだ。