安倍晋三前内閣が2017年、野党側の要求した臨時国会の召集に約3カ月応じなかった対応を巡り、岡山地裁が内閣は召集の法的義務を負うとする判断を示した。

 判決は、召集要求の放置が違憲かどうかの結論は出さず、原告の国会議員個人の賠償請求権を否定した。

 それでも昨年6月の那覇地裁判決に続き、内閣の召集決定を憲法上の義務と認定した意義は大きい。

 菅義偉政権も今回の判決の意味を真摯(しんし)に受け止め、国会での審議に誠実に向き合うべきだろう。

 憲法53条は、衆参いずれかで4分の1以上の議員が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと規定している。

 条文上は、召集までの期間や期限は示していない。裁判では、内閣の裁量で要求を放置できるなら、立憲主義が有名無実化しかねないとの問題が提起されてきた。

 17年の召集要求は、森友・加計学園問題に関する疑惑を解明するためとして出されていた。安倍前内閣は98日後にようやく召集したが、冒頭で衆院を解散し、審議は行われなかった。

 判決は、召集時期に関する内閣の政治判断に司法審査権は及ばないとする国側の主張を退け、「内閣は合理的期間内に召集を決定する憲法上の義務がある」とした。

 那覇地裁と先月の東京地裁の判決同様、議員個人に対する国会召集の義務は負わないとして賠償を退け、直接の憲法判断は避けた。

 一方で「違憲と評価される余地はある」とも言及したのは、内閣の裁量乱用への警告といえよう。

 政権が、国会での説明や議論を避ける姿勢は常態化しつつあり、新型コロナウイルス対策にも影を落としているように見える。

 安倍前政権は昨春の緊急事態宣言後、野党側がコロナ対応継続のため求めた通常国会延長を拒み、夏の感染「第2波」拡大でも臨時国会の召集要求に応じなかった。

 菅政権も「第3波」が急拡大中の昨年12月初めに国会を閉じ、宣言再発令後の今国会開会まで約1カ月半も閉会したままだった。

 コロナ対応の遅れや「政治とカネ」問題への批判を封じたいとの思惑が、国会審議を通じた対策の検証・強化を妨げてはいないか。

 議員の召集要求権の軽視は、唯一の立法機関であり、行政をチェックする国会の存在意義を否定するものだ。国民の負託に応える審議実現には、合理的な召集期限を法制化し、内閣の裁量を抑制することも検討してはどうか。