阪田さん

阪田さん

 男性ばかりの共同作業のため、労働がきつくても弱音を吐かず、互いに鼓舞する職場環境が背景にあると考えられる。唄には、出会った職人たちの心や気質がはっきりと反映されていた。「唄を冷静に分析することで、職人の熱い思いが残せた」

 紙すき唄に出会った原点は、祖母と母親にある。幼少期、よく祖母と一緒に折りびなで遊び、和紙が好きになった。長唄は、名取だった母親に仕込まれた。「和紙と長唄が重なり、仕事唄に導かれた。運命だった」と確信する。研究の背中を押した山下さんとは、自らがかつて録音した紙すき唄に合わせて山下さんがピアノを奏でる共同コンサートも実現した。

 まだ大きな目標がある。この論文を基礎資料に、仕事唄をデジタルアーカイブで残し、誰でもアクセスできるようにすることだ。「いろんなご縁に恵まれ、幸せな人生。与えられた使命を、最後までやりきりたい」