五重塔とみられる建物の基壇跡。階段も見つかった(京都府井手町井手)

五重塔とみられる建物の基壇跡。階段も見つかった(京都府井手町井手)

 奈良時代に国家の中枢にいた有力貴族の橘諸兄が建立したとされる井手寺跡(京都府井手町)の隣接地で、五重塔とみられる建物の基礎部分が見つかった、と府埋蔵文化財調査研究センターが14日発表した。自然石を用いた階段や石敷きなども良好な状態で残っていた。井手寺関連で主要な建物の遺構が見つかったのは初めて。

 同センターによると、五重塔の基礎部分は、これまでの調査で分かっていた寺域の範囲外から見つかった。当時の地方寺院で、区画を独立させた塔院が造られるのはまれという。

 発見されたのは基壇と呼ばれる基礎部分で、東西15・3メートル、南北15・1メートルのほぼ正方形。それを囲むように石敷きと、北側と西側には階段も見つかった。奈良時代に建てられた別の塔の基壇の規模と比較すると五重塔だったと考えられる。

 基壇跡からは、奈良・平安時代の大量の瓦や地鎮に用いたとみられる銭貨も出土した。井手寺跡の発掘に関わってきた京都大の上原真人名誉教授は「塔院があったとは夢にも思わなかった。出土した瓦の年代が離れており、建築の中断もあったのかもしれない。橘氏の盛衰の様子も伝わってくる」と語る。

 現地公開は17日で午前9時~正午は町民、正午~午後4時は町外の人が対象。同センター職員による説明はなく、資料を配布する。当日の問い合わせは080(8535)9125。