企業が、希望する従業員に対して1週間に3日間の休日を与える「選択的週休3日制」の普及に向けた議論が政府内で始まった。今夏にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込まれる見通しだ。

 スキルアップのための学び直しや育児、介護と仕事の両立、兼業などを後押しする狙いがある。

 ワークライフバランスや多様な働き方の推進につながる点で歓迎できる。

 ただし、労働力の調整弁として選択を強制したり、大幅な待遇の切り下げを招いたりすることがあってはならない。

 議論の背景には、新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業がテレワークを導入するなど就労環境が大きく変化していることがある。経団連は感染防止策として週休3日制の検討を企業に呼び掛け、自民党の1億総活躍推進本部も試案を示していた。

 制度を取り入れる試みは既に国内外で広がっている。

 日本ではみずほ銀行やヤフー、日本マイクロソフトなどが、希望する正社員、育児や介護に携わる社員らを対象に導入している。ニュージーランドでも政府が先導して運用が始まっている。

 利用者からは、休暇を家族らとゆっくり過ごすことで仕事への意欲を高められたり、新たなコミュニティーに参加し自分の世界を広げられたりした、などと肯定的な声が上がっている。職場で使用する電力や印刷用紙を減らしてコスト削減にも効果があったとの報告もある。

 一方、労働時間の短縮に伴う賃金制度の在り方も課題となる。既に導入している企業では、週休3日では通常の給与から2割、週休4日の場合には4割程度をそれぞれ減らしている例がある。

 減額幅が大きければ生活の維持が困難になりかねず、制度が形骸化する。合理的で納得できる制度設計が求められる。

 現在、多くの企業は週休2日制を前提に事業計画を決めている。厚生労働省の昨年の調査によると、完全週休2日制より休みが多い企業の割合は8・3%にとどまる。

 このため、製造業や中小企業は、繁忙期に人手が足りなければ競争力が弱まるなどとして、週休3日制に慎重な姿勢を示している。

 政府は今後、職業訓練の機会の拡充も含め、企業に制度導入を促す具体策を検討する。労使双方の立場から、モデル事例の検証を積み重ねていく必要がある。